2月26日の明治安田生命J2リーグ第2節で、大宮アルディージャとアルビレックス新潟の「オレンジダービー」が開催された。前節の開幕戦では大宮が横浜FCに2-3で敗れ、新潟は0-0でベガルタ仙台に引き分けていて、今季初勝利を求めた真っ向勝負。大宮が2点先行しながら新潟が追いついて、2-2で引き分けに終わった。

上写真=イッペイ・シノヅカが昨季まで所属した古巣に恩返し弾。勝ち点1獲得につなげた(写真◎J.LEAGUE)

■2022年2月26日 J2リーグ第2節(NACK/7,174人)
大宮アルディージャ 2-2 アルビレックス新潟
得点者:(大)河田篤秀2
    (新)高木善朗、イッペイ・シノヅカ

「半分ずつ」と霜田監督

 試合は最初は大宮アルディージャのものだった。キックオフの笛が鳴ってから続けざまにハイプレスを敢行。最前線の富山貴光、河田篤秀、柴山昌也がよく走ってボールにアタックしながら周囲も連動して、アルビレックス新潟のボールを引っ掛けにいった。

 そんな狙いを見事に表現して先制してみせたのが、わずか7分のこと。左サイド深くに追い込んで舞行龍ジェームズと星雄次のミスを誘い、拾った左サイドバックの小野雅史が矢島慎也とのワンツーで抜け出してニアへ鋭いセンタリング。これを河田が右足で流し込んで、あっという間に先制した。

 これでようやく目が覚めた新潟は、リズムを取り返す。ボールを短く動かすだけではなく、特に右サイドのスペースを活用。ウイングのイッペイ・シノヅカが内側にポジションを取ることでサイドバックの小野を引きつけて外側のスペースを空け、サイドバックの長谷川巧が自慢の推進力を生かして突いていった。

 前半最大のビッグチャンスもその形から生まれた。23分に長谷川への大きなサイドチェンジから始まり、縦に突破。折り返しをシノヅカが狙ったが、GK南雄太のファインセーブに阻まれた。南には後半開始早々にもビッグセーブを見せられて、47分に右サイドをパスワークできれいに崩して高木善朗が折り返し、谷口海斗が至近距離から狙ったが、南に阻まれた。

 チャンスのあとにピンチあり、を地で行ったのがこの日の大宮だ。64分に左から柴山昌也が送った鋭いクロスが、飛び込んだ河田の頭にどんぴしゃり、飛び出したGK小島亨介の手前で押し込んで、この日自身2点目で追加点をもぎ取った。

 しかし、試合はここから急展開。それは、0-2とされた4分後に新潟が1点を返したことが大きい。本間至恩が強引なドリブルで中央を割って右へ、高木がGK南の出際に上を通すシュートで1-2と迫った。これで勢いを得た新潟は直後に伊藤涼太郎と矢村健の攻撃スタッフを送り込んでパワーをかけると、71分には伊藤のパスから左に抜けた本間がループ気味のクロス、これをシノヅカが古巣相手にヘッドで押し込んで同点に追いついた。

 新潟はこのあとも攻め立て、75分に高木、80分に矢村、90分に島田譲とビッグチャンスを迎えるが、いずれも決めきれずに2-2のまま試合終了。

 大宮の霜田正浩監督は「やりたかったこととやれなかったことが半分ずつ」と表現。「前節(横浜FC戦)は勝ち点1を取れなかったけれど、今日はちゃんと取れたので、今度は勝ち点3を取りたい」と成長の手応えを口にした。

 追いついた新潟の松橋力蔵監督も同様。「後半は中央を使った攻撃を展開していこうということで、センターフォワードの立ち位置を変えたりしながら、ある程度はいい流れができた」と振り返った。開幕戦ではチャンスを作りながらノーゴールだっただけに、2点を追いついたことを評価した。

 2点をリードしながら逃げきれなかった大宮、追いつく前にもあとにも手にしたビッグチャンスを決められずに、勝ちきれなかった新潟。勝利に手をかけながら届かない悩みは同じだが、ともに新型コロナウイルス感染症の陽性者が出ながら戦って、前進を感じさせる90分になった。

現地取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE