上写真＝チームの一体感が昇格を導いたと語った松田天馬（写真◎J.LEAGUE）
彼の強さが京都の基準になってほしいと（チョウ監督）
松田は今季から京都に加入し、1年目にしてキャプテンを務めた。自らもチョウ・キジェ監督も「話すのはうまくない」と言うが、ピッチ上、あるいは練習場の松田はいつも雄弁だった。Ｊ1昇格を決め、改めて松田をキャプテンに任命した理由について聞かれた指揮官は「彼は本当に強い子で逆境に立った時も、自分ができなかったときも1ミリも人のせいにしない。他者のせいにしない。そのことは湘南時代から付き合っていて分かっていた。彼の強さが京都を変えていく、京都の基準になってほしいと思って彼に任せました」と説明した。
実際、その強さが、チームに好影響を与えた。倒されてもすぐ立ち上がりプレーを続ける姿に、練習で常に全力を出し切る姿に、多くの選手が刺激を受けている。松田は文字通り、チームのけん引車だった。
「シーズンを振り返ると、決して楽なシーズンではありませんでしたけど、『HUNT3』という言葉を掲げて、ハイインテンシティーで勝つサッカーを目指し、新しいチャレンジを忘れずにやってきたことが実を結んだと思います。継続する力だったり、仲間が一体感をもってその力を証明できました。個人的にはキャプテンをやりましたけど、バカみたいに責任を感じちゃって、うまくいかない時期もありました。でもサポーターや近くにいる仲間たち、スタッフに支えられた1年でした」
昇格決定後、都内のホテルで開かれた会見で改めて思いを口にした。長いシーズンでは苦しい時期もあったという。特に昇格が現実味を帯びてきた時期にはキャプテンとしての責任をいっそう感じることにもなった。それでも松田は、自分ができることをやり抜いた。「一生懸命やる姿勢を示すこと」。そんな松田に引っ張られるように、チームは前進し、ついに昇格を成し遂げた。
「ただ、監督が言うようにここは通過点なんで、まだまだ勝利を目指して頑張っていきたい」
J1復帰がゴールではない。J1という舞台で結果を出すことが次なる目標だ。道はまだまだ続く。松田もチームも、スピードを上げて、その道を進むつもりでいる。