京都サンガF.C.は28日、J2第41節でジェフユナイテッド千葉に引き分けて勝ち点1を積み上げ、12年ぶりとなるJ1昇格を決めた。ここでは、都内ホテルで開かれた「J1昇格記者会見」に出席したチョウ・キジェ監督、5人の選手、伊藤雅章社長と、試合後のオンライン取材に応じた2人の選手の喜びの声を掲載する。

上写真=「J1昇格記者会見」で登壇した7人。前列左から、宮吉拓実、チョウ監督、伊藤社長、松田天馬。後列左から、麻田将吾、福岡慎平、ピーター・ウタカ(写真◎山口高明)

チョウ・キジェ監督「あくまでも、昇格は通過点」

「12年ぶりにサンガがJ1に昇格するということで、1年弱、このチームに携わらせてもらってそういう結果が出て、選手たち、スタッフの皆さん、フロントの皆さん、アカデミーの選手たち、親御さん、京都に住んでいるサンガを応援してくれる皆さん、スポンサーの皆さんに、本当におめでとうございますと言いたいです。
 僕が監督として未熟で、学ぶことをたくさんしなければならないなかで、今年京都に来て、新しいフットボールに挑戦して、見事に選手たちがそれに応え、結果を出してくれた。これは本当に、選手の努力の賜物だと思います。自分は、指導者としても、人としてもまだまだ足りないということを痛感することが多いですけど、今年の選手から学ぶことが多かったですし、あと1試合また、しっかり選手たちと準備してホームゲームに来てくださるたくさんのお客さんに、勝ち点3を届けたいと思います。
 あくまでも、J1昇格というのは、チームにとって間違いなく通過点であると思いますし、『勝つ、負ける』というのはありますけども、どういうサッカーを展開していくのか、それに対して選手がどう対処していくのか、というのをつくり上げて、世界のサッカーは進歩していますけど、『彼らに追いつけ追い越せ』ができるような、そういったチームになってもらいたいなと思っています」

MF#4 松田天馬「一体感をもって力を証明できた」

「シーズンを振り返ると、決して楽なシーズンではありませんでした。新しいチャレンジを忘れずにやってきたことが実を結んだと思います。継続する力だったり、仲間が一体感をもって力を証明できたと思っています。個人的にはキャプテンをやり、バカみたいに責任を感じちゃって、うまくいかない時期もありましたけど、サポーターや近くにいる仲間たち、スタッフに支えられたと思っています。チョウ監督も言う通り、ここは通過点なので、まだまだ勝利を目指して頑張っていきたいと思っています」

FW#13 宮吉拓実「一緒に戦い、昇格を手にできた」

「今シーズンは素晴らしい監督、コーチングスタッフ、チームメイト、ファン・サポーターの方々と一緒に戦い、昇格という結果を手にすることができて、本当に幸せです。来週、ホームのサンガスタジアムで最終節がありますので、そこで京都の皆さんの前で自分たちが1年間積み上げてきたサッカーを存分に発揮して、楽しんでいただけるようなゲームができたらいいなと思います」

FW#9 ピーター・ウタカ「感謝とありがとう、そしておめでとう」

「ファンタスティックなシーズンになったと思います。サンガに関わるすべての方々に『ありがとう』と言いたいです。いい歳になったけど、自分を信じてくれた監督、皆さんがいて、そして証明したかったのは、『年齢(37歳)というのはただの数字だ』ということ。それを証明できたことを非常にうれしく思っています。
 みんなも言っているように、まだまだ通過点。終着駅ではないので、自分はベストを尽くして、このチームのためにやっていきたい。これからもみんなのサポートとともに進んでいきたいと思っています。チームメイト、スタッフ、サポーター、スポンサーほか、すべての皆さんに、感謝とありがとう、そしておめでとうございますと伝えたいと思います」

MF#31 福岡慎平「自分がプロになり、昇格を決められた」

「僕自身、光栄なことに、小学4年生からこのクラブでプレーさせてもらっていて、正直、中学生や高校生の頃にJ1に上がるんだろうなと思いながら過ごしていたんですけど、やっぱりJ1に上がるのはそんなに甘くないということをあらためて思いました。自分自身がプロになって、こうやって自分たちの力でJ1昇格を決めることができて、素直にうれしく思います。まだ最終節が残っているので、チームを勝たせられるようなプレー、自分たちのサッカーをして戦っていきたいと思っているので、引き続き、応援をよろしくお願いします」

DF#19 麻田将吾「ホッとしている気持ちでいます」

「今年、目標にしていたJ1昇格を達成できたことに対して、素直にうれしい気持ちとホッとしている気持ちが両方あります。最初は『J1に行きたい』と思っていたけれど、途中から試合をこなしていくうちに、『上がらなくてはいけない』という感情が芽生えてきた。みんなの力で達成できて、ホッとしている気持ちでいます。
 僕も、福岡選手が言ったようにアカデミー出身の選手なんですけど、僕が高校生のときにトップチームがJ1に上がって、いつか僕もJ1でできるといいなという甘い考えでいたんですけど、プロの世界は厳しいなと実感しました。今回、こうやって試合に出てJ1昇格というのを決めれたというのは本当にうれしい。来年、J1では本当に厳しい戦いになると思います。今シーズンもまだ試合がありますので、そこで勝利をつかめるように頑張りたいと思います」

MF#24 川崎颯太「『俺が上げる』の気持ちが芽生えた」

「自分としては昇格とかは意識せずにむしろ、何としてでも1点取りたいなというくらいの気持ちでやっていた。なんか『(試合が)終わっちゃったかあ』という気持ちもありますし、それでもみんなが喜んでいる姿を見たり、昇格が決まったりしたことでホッとしました。失点は絶対にゼロという気持ちがあったんですけど、得点も狙っていたので、気持ち良く終われたかと言えば、100パーセントそうとも言えないと思います。
 僕は高校からサンガにきたので、12年ぶりの重みとか苦しいシーズンとかはあまりわからないんですけど、アカデミーのスタッフからは『お前らがプロになってトップチームを変えるんだぞ』『お前らがJ1に上げるんだぞ』という言葉を、僕がユース(U-18)にいるときから言ってくれていたんで、『プロに入って、俺が上げるんだ』という気持ちは、アカデミーのスタッフが芽生えさせてくれた。チョウさんも『お前らアカデミー(出身者)が勝たせるんだ』という話もしてくれていた。強化部の加藤久さんも僕たちに期待してくれて、1回、寮でお話をさせてもらったとき、『アカデミーが京都の宝だから、お前らが活躍することで京都の子どもたちが元気になるし、京都のサッカーを盛り上げてほしい』と言ってくれた。そういう面では、自分たちがJ1昇格に貢献したというのもおこがましいけど、自分が実際にプレーし、チームを勝たせたりとか、この1年を通して戦えたのは幸せだと思います」

DF #17 荻原拓也「サッカーやってて良かった」

「昇格のかかった緊張感のある試合でしたけど、前回(岡山戦)は『勝たなくちゃいけない』『昇格しなくちゃいけない』という、堅くなってしまうようなメンタリティーで試合をしてしまったなかで、今日は『勝っても負けても自分たちが今までやってきたサッカーをする』という、思いっきりやれるようなメンタリティーでやれました。勝ち切れはしなかったけど、本当に京都らしいサッカーが今節できたかなと思っています。今は正直ほっとしています。残り1節ありますけど、なんか肩の荷が下りるじゃないですけど、うれしいし、ホッとしています。(控え室での様子は?)最高ですね。サッカーやってて良かったなという瞬間が、今日味わえました」

伊藤雅章社長「記念すべき歴史の1ページに」

「やっとと言いますか、12年ぶりにJ1に復帰させていただくことができました。本当にこの間、ファン・サポーターの方、スポンサーの方、また行政関係の方、たくさんの関係の方に支えていただいて、本日を迎えられました。本当にありがたいと思っています。今年はチョウ(・キジェ)監督をお迎えして、チョウ監督のもとで、コーチングスタッフ、トレーナー、強化、アカデミー本部、フロントの皆さんなど、今年は『一心』ということをスローガンに1年間、クラブとしてやっていこうとしました。チョウ監督は特に、選手が躍動する、自主性を発揮してチャレンジするチームをつくってくれたと思っています。『一心』というスローガンのもとで頑張ってくれたと思います。
 12年ぶりに昇格できましたが、素晴らしいスタジアムがありますので、今後さらにサンガを愛していただけるように、ファンをたくさん増やして、文化都市・京都にふさわしいチームになっていけるように、今後また来年以降も、J1という舞台で邁進してまいりたいと思っています。まだ1試合残っていますけど、今日は記念すべき歴史の1ページになったんだろうと思っておりまして、関係の皆さんにあらためて、感謝を申し上げます」