アルビレックス新潟のアルベルト監督が、今季限りでクラブを離れることを明言した。11月21日の明治安田生命J2リーグ第40節のザスパクサツ群馬戦後の記者会見で答えたもの。「私にとって難しい決断でした」と愛着のあるクラブを離れる気持ちを明かした。

上写真=アルベルト監督が試合後、新たな旅立ちを明かした(写真◎スクリーンショット)

「このスタイルはクラブとともに歩み続けてくれる」

 11月20日夜に各メディアが報じたのが、新潟のアルベルト監督が、FC東京の有力な新監督候補になっている、というニュース。これを受けて、翌21日にアルベルト監督自身が群馬戦後の記者会見で、チームを離れることを認めた。

「今シーズン終了とともに、新潟を離れる決断を下しました。私がこのクラブに、この新潟という街にとても深い愛情を抱いていることはご存知かと思います。けれども、クラブを離れるという難しい決断を下しました」

 苦渋の決断だったことは、珍しく伏し目がちなその表情からもうかがえた。試合後のDAZNのフラッシュインタビューでは涙を浮かべていた。

「明確にしたいのは、私自身が下した決断であるということです。クラブは続投を希望してくれましたし、そのためにあらゆる努力をしてくれました。けれども、人生において難しい決断を下さなければいけない瞬間があります」

 クラブに意思を伝えたのは「数日前」ということで、この群馬戦を終えて次の週に選手には説明するつもりだったという。しかし、20日夜のニュースによって、試合当日の朝に急きょ、選手に話した。

「選手たちに伝えたのは、私がクラブを離れようとも、いま続けている方向性をクラブが継続してくれるということです。いまの方向性がクラブをさらに成長させてくれますし、サポーターの皆さんも後押ししてくれると思うので、選手にプラスになると思います」

「この2年間、私が監督として成長できたのは、選手のおかげだと思っています。チーム内に素晴らしい雰囲気を維持することができました。クラブはこの方向性を継続していくので、選手には安心していいよというメッセージを伝えました」

 そして、ファン・サポーターへの深い愛情を口にした。

「新潟の皆さん、関係者の皆さん、ファン・サポーターの皆さんが、私だけではなく家族も温かく迎えてくれて、故郷にいるかのような時間を過ごすことができました。本当に感謝していますし、この愛情は永遠に続くと思います」

「私だけではなく家族にとっても新潟はまるで第2の故郷のような大切な存在です。新潟は私の国から遠くないですし、新潟のお米は食べ続けたいと思います」

 2020年シーズンからこのクラブを率い、「ボールとともに前進する」というスタイルを植えつけた。今季は開幕から好調で、慎重に慎重を重ねてそれまで口にしてこなかった昇格という目標を、シーズン途中で「絶対に昇格する」と力を込めた。その冒険は未達成のまま終わるが、功績は大きい。

「この2年間によって、明確なスタイルがこのクラブに浸透したと思います。私が離れようとも、スタイルはクラブとともに歩み続けてくれると思います」

 それを証明するのが、FC琉球戦、FC町田ゼルビア戦の残り2試合だ。