明治安田生命J2リーグで京都サンガF.C.が昇格を目前にしている。11月20日の第40節でファジアーノ岡山に勝てば決定だ。この1年で大きく成長した一人が川崎颯太。チョウ・キジェ監督から強烈な刺激を受けて、さらなる高みへとまっすぐ進んでいく。

上写真=川崎颯太のポテンシャルの高さはチョウ・キジェ監督が一番感じている(写真提供◎京都サンガF.C.)

「彼はまだ、自分のポテンシャルに気づいていない」

 2021年の京都サンガF.C.にはチームを象徴する「アイコン」とも呼べる選手が何人もいて、その一人が川崎颯太だ。

 39試合を終えて、出場停止の1試合を除く38試合、3211分に出場はヨルディ・バイスに次いでチームで2番目に多く、ゴールは3。ベンチスタートは2試合のみで、先発36試合のうち途中で退いたのも9試合のみと、ほとんど出ずっぱり。中盤の中央に立って攻めにも守りにも関与して、ドリブル、パス、シュート、タックル、プレス、全体のコントロールなどなど、あらゆるタスクをこなす、まさしく万能型センターハーフだ。

「彼はまだ、自分のポテンシャルに気づいていない」

 チョウ・キジェ監督は独特の言い回しで背番号24を表現する。その言葉には、広がり続ける伸びしろへの高い評価と、絶対にそれを無駄にしてはいけないとする叱咤の両方の意味が刻まれている。

「チョウさんが可能性に気づかせてくれました」

 川崎自身もよくわかっている。

「自分の可能性を自分でつぶしている、と言われていて。自分はそんなに自信があると思えなくて不安のほうが強いんですけど、チョウさんがもっとできる、上を見ろと言ってくれることで、成長したい、うまくなりたい、強くなりたい、レベルが高いところでやりたいと意識させてくれるんです」

 レベルの高い場所は、もう目の前にある。目標としてきたJ1昇格は、次のファジアーノ岡山戦で勝てば決まりだ。V・ファーレン長崎とヴァンフォーレ甲府の結果次第では、引き分けでも負けでも可能性はあるが、もちろん気持ちよく勝って決めるつもりだ。

「勝ちたいと思う気持ちは第1節からいままででなにも変わらないけれど、勝ちだけを追い求めないというか、例えば1点を取ったら引いてそれだけを守るサッカーは自分たちらしくない。それで昇格を決めても達成感や納得感は薄れます」

 チョウ・キジェ監督も昇格決定戦だからといって特別なことはないと平常心だが、それは選手たちにも十分浸透している。点を取って、勝つ。その繰り返しの延長に、この岡山戦もあるし、そのあとのジェフユナイテッド千葉戦もツエーゲン金沢戦もある。

「1点入れてもやり方を崩さず90分続けて勝てばハッピーだし、もちろん岡山さんも命がけでくるので勝てなくても悲観するべきではないですけれど、勝ち点3を取りたいあまりにスタイルを崩すのはもったいない」

 攻めて勝つ。それが、サンガスタイル。岡山戦でも同じように戦って、勝って昇格決定の雄叫びを上げるつもりだ。