京都サンガF.C.のルーキーがプロ初先発の喜びを語った。明治安田生命J2リーグ第39節でそれを果たしたのが、センターバックの長井一真。待望の初先発は緊張もなく楽しくプレーできたという。もがいたプロ1年目で、昇格を目前にしたいま、見えるものとは。

上写真=長井一真がうれしいプロ初先発。秋田戦の勝利に貢献して、昇格に王手をかけた(写真提供◎京都サンガF.C.)

「僕がボールウォッチャーになってしまって」

 京都サンガF.C.のルーキーDF長井一真が、11月14日のJ2第39節ブラウブリッツ秋田戦でプロ初先発を果たした。ここまで8試合には途中出場でチャンスを得ていたが、プレー時間は最長で25分だった。

「やっとやな、という気持ちが一番強くて」

 待ちに待った初先発だった。だが、冷静だった。

「気負うことも緊張もまったくなく、楽しめて、いい精神状態でプレーできました」

 強心臓というよりは、プレーすることの喜びを抑えきれなかったという感じだろうか。

「相手がどうこうというよりは、自分がやって来たことやチームに求められていることを、チームを勝たせるのに何ができるかを考えながらできたことが一番楽しめました」

 考える楽しさをプロ1年目から感じることができている。センターバックとしてフル出場して、試合には3-1でしっかり勝って、昇格に王手をかけることができた。ただ、悔やまれるのは失点のシーン。最後に秋田の武颯にきれいにボレーシュートでたたき込まれている。

「ファーストディフェンスで寄せるべきだということもありますが、折り返されたらセンターバックが弾き返せばいい。でもあのときは僕がボールウォッチャーになってしまって、自分のマークの選手に決められてしまいました。もっと首を振って周りを確認しなければいけなかった」

 京都から見て右からのクロスをフリーでファーに送られ、ヘッドで折り返されたところで、ボールの行方に集中するあまり、武をフリーにしてしまっていた。この苦々しい経験も、ルーキーには良薬になるだろう。

「プロ1年目ですけど、ここまで出られない年はなかったので、自分の中でもがきながら、どうすれば試合に出られるかを考えています」

 プロの壁は高いが、視界が広がってきた感覚もある。

「ビルドアップで前に持ち出して縦パスを出したり、ゴールにかかる仕事をしたいと思っていました」というのが、プロとしての自分自身のプライドでもあった。しかし「チームとしてそれを僕がやるべきかどうか。前にいる選手にパスを出せばスムーズに動いていました」ということが理解できるようになって、変わった。

「チームがやるべきことをを遮らずに、溶け込めるように、という感じです」

 ちょっとしたコツをつかんで、プロ1年目もまもなく終わろうとしている。11月20日の第40節でファジアーノ岡山に勝てばJ1昇格だ。それが実現すれば、来年はJ1の舞台でまたもがいて突き抜けることができるはずだ。