10月31日の明治安田生命J1リーグ第36節で、ファジアーノ岡山とアルビレックス新潟が対戦。岡山が鮮やかなパス交換から先制したが、Jリーグデビューや今季初出場の選手を次々に送り込んだ新潟が後半に盛り返して同点に。最後までともにゴールを目指したが、このまま引き分けに終わった。

上写真=先制された新潟は57分、谷口海斗が2試合連続ゴールを決めて同点に追いついた(写真◎J.LEAGUE)

■2021年10月31日 明治安田生命J2リーグ第36節(@Cスタ/観衆5,578人)
岡山 1-1 新潟
得点者:(岡)上門知樹
    (新)谷口海斗

「それ以上に大切なのは選手一人一人の成長」

 まるで、アルビレックス新潟のお株を奪うようなパスワークだった。

 ファジアーノ岡山は16分、相手のパスの乱れを見逃さずにピッチの中央付近でボールを奪うと、宮崎智彦が素早く左前へ。徳元悠平が右サイドに斜めのスルーパスを送ると、山本大貴がワンタッチで左横に流し、フリーになっていた上門知樹ががら空きのゴールに流し込んだ。奪ってからのスピード感とワンタッチパスで相手を完全に置き去りにするパスワークが爽快な先制ゴールだった。

 新潟ベンチは後半開始から動く。ルーキーの小見洋太をリーグデビューさせて左サイドハーフに送り込むと、今季リーグ戦初出場となる長谷川巧を右サイドバックへ。すると、フレッシュな戦力が生き生きとプレーして、試合の流れを引き寄せていった。

 さっそく実を結んだのが57分のこと。その小見が左サイドで受けてからすぐに球離れよく高木善朗に預けると、さらに左で受けた谷口海斗がカットイン、すがりつくように次々に寄せてきた相手を横に横にと振り切って、右足でゴール左に流し込んだ。

 次の1点を狙うために、ともに交代選手でパワーを注入。オープンな展開になって、目まぐるしく攻守が入れ替わっていく。チャンスの数は新潟が多く、62分に小見、70分と80分に大本祐槻、87分に矢村健などのビッグチャンスを迎えるが、シュートは決まらず。岡山も78分に右からのクロスに川本梨誉がヘッドで狙い、93分には上門が左からコースを狙って右へと打つが、どちらもゴールをそれていった。

 足がよく動く前半のうちに先制した岡山、フレッシュな選手で盛り返した後半に決めた新潟と、内容とスコアがほぼ合致するような90分に。岡山の有馬賢二監督の見立ても同様で、「守備では相手に持たせていいところとチェイシング、取りどころをピッチの中でしっかりと自分たちの良さ持って入っていって、ゴールを奪えました。後半はもう一つプレスをかけて取りたかったのですが、押し込まれる時間が増えました」と振り返った。

 新潟としては勝ち点3を奪って上位陣との差を堅持したかったが、勝ち点1にとどまって後退。アルベルト監督は悔しさをのぞかせながらも、「巧と小見を後半から投入して、彼らの活躍で攻撃に奥行きを出してチャンスを作ることができました」と手応え。「私にとって勝利は大切ですが、それ以上に大切なのは選手一人一人の成長です」と説明して、デビューした小見や今季初出場となった長谷川と大本、前節にデビューしたばかりでこの試合でも先発させたシマブク・カズヨシといった若手の好パフォーマンスを喜んだ。

写真◎J.LEAGUE