10月9日に行われた明治安田生命J2リーグ第33節。ラスト10試合となる一戦でアルビレックス新潟がレノファ山口を迎えた。キックオフから恐れることなく前へ前へとプレスをかけては奪ってゴールを狙う山口が試合を主導、新潟も盛り返す展開になった。62分、その新潟がカウンターから鈴木孝司が仕留めて、1-0で逃げ切った。

上写真=鈴木孝司はゴールを決めてサポーターのもとに駆け寄った(写真◎J.LEAGUE)

■2021年10月9日 明治安田生命J2リーグ第33節(@デンカS/観衆9,258人)
新潟 1-0 山口
得点者:(新)鈴木孝司

「勝たせてあげられなかったのが悔やまれます」と名塚監督

 上位2チーム追撃に勝利だけがほしい4位のアルビレックス新潟、残留への厳しいせめぎあいの中で同じく勝ち点を追い求める17位のレノファ山口FC。キックオフからペースを強奪したのはアウェーの山口だった。

 合図は開始わずか3分のポスト直撃弾で、右からの池上丈二のFKを眞鍋旭輝がヘッドで狙ったが、右ポストに弾かれた。そこからは、名塚善寛監督が就任してまだ2試合目と思えないほどの規律に基づいて、新潟のボールを狩りに出て行く。相手陣内深くからどんどんと追い回し、コースを削って前に蹴らせて、最終ラインの渡部博文が中心になって回収するパターンで攻勢に出た。

 新潟はこの攻撃をまともに受けてなかなか前進できなかったが、飲水タイム明けからポジションを微調整。鈴木孝司と谷口海斗の2トップ気味の布陣でスタートしたところから、谷口を左サイドに張り出させるなどしてピッチを大きく使うようになる。35分、36分、38分、40分と連続してゴールに迫って、ようやく息を吹き返した。

 後半も最初は山口の時間帯。前から奪いにいく勢いを取り戻し、チャンスに結びつけた。50分には前線からの囲い込みが効いてミスを誘い、最後は池上丈二がゴール前にもぐり込んだがシュートは打てず。54分にも中盤のバトルに勝って池上が左へ、島屋八徳が左足で狙うチャンスを迎えたが、シュートは枠を外れてしまった。

 ここで落ち着くと、均衡を破ったのは新潟のほう。62分のカウンターだった。中盤の空中戦で勝った鈴木が落としたボールを高木善朗がワンタッチで右足アウトサイドで右に流し込む巧みなパス。受けた三戸舜介が飛び出してきたGK関憲太郎をかわしてから縦に出て、落ち着いて中央に送ると、走り込んでいた鈴木が確実に蹴り込んで、ついに先制ゴールが生まれた。

 この後は山口が攻撃的な選手を次々に投入し、新潟も選手交代で対抗するが、スコアは動かないまま。結局、この鈴木のゴールが決勝点となり、新潟が勝ち点3を手にした。

 新潟のアルベルト監督は「決していいプレーができたわけではない。期待するプレーができていたかというとそうではない試合だった」と振り返るが、その中でも勝ち星を得たことは大きい。とはいえ「勝ち点だけで満足せずにいいプレーを求めていきたい」と、勝ったからこそ、これまでの姿勢を追求していく意欲をさらに強調した。

 山口は名塚監督が「勝たせてあげられなかったのが悔やまれます」と振り返るほど、内容は充実。「前からプレスにいって、なるべく高い位置で奪ってチャンスを作ろうということは、前半は特にやってくれました」と及第点を与えた。ただ、左右からのクロス、中央での大槻周平の存在感で新潟を脅かしつつも、ゴールはなし。「思い通りにいった試合だと思いますが、最後の最後、もう一つパワーが足りなかったと感じています」と、フィニッシュワークでの課題を持ち帰ることになった。

写真◎J.LEAGUE