レノファ山口の渡邉晋監督の退任に伴い、新監督に就任した名塚善寛監督がオンラインで就任会見を行なった。失いがちだったアグレッシブさを取り戻し、「前向き」な戦いで残り11戦に臨みたいと意気込みを語った。

上写真=山口の新監督に就任した名塚善寛(写真◎J.LEAGUE)

一戦一戦、全力で戦っていく

「チーム状況は良いとは言えませんが、一戦一戦、全力で戦っていきたいと思っています。よろしくお願いします」

 レノファ山口は29日、渡邉晋監督の退任を発表。代わって指揮を執ることになったのが、名塚善寛ヘッドコーチである。オンラインで就任会見に臨んだ名塚新監督は、前述の通り、就任の挨拶を行なった。

 前任の渡邉監督は今季から就任し、チームの強化に努めてきたが、31節終了時点で15位。降格圏の19位との勝ち点差はわずかに3ポイントとなっていた。

「長崎戦のあと、ナベ(渡邉)と(チームについて)話し合いました。その翌々日、オフの時でしたが僕のところに、『こうなるので、監督をしてもらえないか』と、チームからオファーが来ました。突然のことでで、動揺じゃないですけど、責任を感じつつ、色んなものを感じました。その中で、僕自身が何ができるのかと。レノファのために、山口県のために何ができるか考えたときに、引き受けることを決めました」

 就任は、名塚監督にとっても寝耳に水だったという。

「(渡邉前監督と何を話したかは)言えません。デリケートなところで、ナベ自身の気持ちもありますし、それにやっぱりサポートできなかったという僕らスタッフの思いもあります。もうちょっとサポートできたのではないかという正直ありますが、リーグ戦は待ってくれない。サポーターのこと、レノファのこと、今後を考えたときに、私自身が思っているものを伝えて、レノファのサッカーを
体現させたいという重いことが強かった。今はやってやろうという気持ちでいます」

 名塚新監督に期待されるのは、まずは残留を決めることだろう。そのために改善点については「レノファのサッカー、前に前にというサッカーをすること」を改めて徹底し、「気持ちに部分でも前を向いてプレーすること」を選手に求めたいと話した。「やろうとしていることを選手に体現させる、落とし込むことが今の僕の仕事だと思っています。ボールにプレッシャー行こうよとか、5秒で行こうよとか、ぶっちゃけ気持ちの部分がメンタルの部分が大半を占めると思うので、しっかり選手を競争させた中で、残り11試合を戦っていきたい」。

 4チームが降格するというレギュレーションの中で、残り試合が少なくなれば、当然、大きなプレッシャーがかかる。新指揮官はチーム内にいかにポジティブな空気を生み出すか、いきなりその手腕が問われるが「(選手起用については)まっさらな気持ちで、ここからは競争だよと選手にも伝えました。今日も3チームで紅白戦をやりましたが『バチバチやれ』と話して、ケガ人が出るんじゃないかと思うくらい、積極的にやってくれました。いい意味で起用に迷いそうだなと。基本的な考えとしはチームのために戦える選手、共闘できる選手の起用を考えています」。アグレッシブに戦うことを求める指揮官は、選手起用についても『姿勢』を求めたいと説明した。

 新指揮官の初陣は3日の東京ヴェルディ戦になる。一戦必勝で臨むと名塚監督は強調し、「情熱的なサッカーをしたい」と話した。

◆名塚善寛(なつか・よしひろ)
・生年月日:1969年10月7日(51歳)
・出身地:千葉県
・経歴:習志野高→フジタ工業→ベルマーレ平塚→コンサドーレ札幌
・指導歴:コンサドーレ札幌U-12コーチ(2002–2006)→コンサドーレ札幌Uー15監督(2007–2012)→コンサドーレ札幌(現・北海道コンサドーレ札幌) コーチ(2013)→レノファ山口FCコーチ(2018-2021)