9月4日の明治安田生命J2リーグ第28節で、アルビレックス新潟はギラヴァンツ北九州にゴールを許さなかった。最後の砦となったのは阿部航斗。11試合ぶりの先発に珍しく「緊張した」というが、争いの激しいポジションを守り抜く重大さを肝に銘じて臨んでいた。

上写真=阿部航斗が3カ月ぶりのピッチを楽しんで無失点に。しかし、勝てなかったことを悔やんだ(写真◎ALBIREX NIIGATA/J.LEAGUE)

■2021年9月4日 明治安田生命J2リーグ第28節(@デンカS/観衆7,617人)
新潟 0-0 北九州

「前が限定してくれる分、人に行きやすくなります」

 失点ゼロは、守備陣の、特にGKの勲章だ。9月4日のJ2第28節でギラヴァンツ北九州をホームに迎えたアルビレックス新潟は、キックオフから試合終了までほとんど自分たちのペースで試合を運び、無失点で90分を終えた。

 守り抜いたのは阿部航斗。11試合ぶりの出場に「あまりしないのに、試合前に結構緊張しちゃって、後半途中には足もつってしまって不安定なプレーを見せてしまいました」と苦笑いだったが、「結果的にゼロで終われてよかった」と安堵の表情だ。

 開幕から17試合連続でフル出場して、その間、わずかに2敗。阿部の安定感がチームの快進撃に大きく寄与していた。だが、小島亨介の復帰とともに出場の機会を失った。だからそれだけ、この「復帰戦」の重要性を自らにたたき込んだのだろう。

 北九州戦では、以前阿部が出場していた頃のような好調を取り戻し、ボールを保持して前進していくスタイルを取り戻した。それは守備にも効果を発揮する。

「前が限定してくれる分、センターバックやボランチが人に行きやすくなります。そこでボールを取れましたし、自分は背後のケアをするだけだったので問題なくやれていたと思います」

 限定と奪取のリズムが気持ちよくはまって、危険なシーンはほとんどなし。敵将の小林伸二監督も「攻撃の回数はほとんどなかった」と嘆くほどだった。

「前に出ていたころもやっていたことですが、継続してやっていこうと思っていたので、僕のコーチングが良かったのかわからないけど、前からのプレスがはまっていて後ろも守備しやすかったので、前の選手に助けられました」

 自らも声で仲間を動かして、クリーンシートに貢献した。だが、得点もなし。

「昇格を目指す上では、ホームということもあったし勝ち点1では物足りないです。ただ、上を向いてやっていくしかないですし、次の試合に上を向いていい準備をしていくしかない」

 その次の試合は大一番になりそうだ。相手はモンテディオ山形。直近では2連敗しているものの、それまでは7連勝を含む12試合負けなしと快進撃を続けていた。新潟より1試合消化が少ない状態で勝ち点差は5の8位。下からの突き上げを食い止めるには勝っておかなければならない相手だ。

「順位が近いですし、昇格を争うライバルで、スタイルもお互いにボールを握ることでリズうつかむサッカーです。見ている人もやっている人も面白い試合になるのではないでしょうか」

 小島、阿部のほか、藤田和輝、瀬口拓弥と誰が出てもおかしくないハイレベルのGK陣。

 ビッグゲームに登場するのは誰になるだろうか。

写真◎ALBIREX NIIGATA/J.LEAGUE