9月4日の明治安田生命J2リーグ第28節でアルビレックス新潟はギラヴァンツ北九州をホームに迎えた。最初から最後までほとんど新潟が自分たちのリズムで進めながら、北九州が粘り強く守ってゴールを割らせずに、結局スコアレスドロー。勝ち点1を分け合う結果になった。

上写真=4試合ぶりの先発だった本間至恩がカットインからシュート。味方を生かしながら自分も生きた(写真◎J.LEAGUE)

■2021年9月4日 明治安田生命J2リーグ第28節(@デンカS/観衆7,617人)
新潟 0-0 北九州

「あらゆる方法で攻撃を試みました」とアルベルト監督

 アルビレックス新潟が90分を通して圧倒的にパスを回した。チャンスも数多く作った。だが、結果は0-0。「サッカーというものは必ずしも公平な結果が出ないスポーツです」と新潟のアルベルト監督。ギラヴァンツ北九州は新潟の動きに対応しながらゴールにフタをした。「今日は形を変えながら4枚プラス1枚で守った」と北九州の小林伸二監督。

 キックオフから試合終了まで、ほとんどが新潟のペースだったと言っていいだろう。新潟のシュート15本に対して北九州のシュートは前半はゼロ、後半も4本のみと数字にも表れた。新潟は前節の水戸ホーリーホック戦での0-4の惨敗を受けて、攻撃の組み立て方を見直した。ロングパスに頼りがちだったところを、好調の頃に自信を持って進めていたように、パスをしっかり回して全体で前に運んでから崩し、奪われても高い位置で即時奪回して、さらに攻めるという好循環だった。

 左MFに本間至恩、右MFにロメロ・フランクを起用したのも、結果を残していた時期の布陣。本間のドリブルとフランクの体の強さを生かしたポイントづくりを散りばめながら、好連係で押し込んでいった。

 小林監督は「今日は前から行かずに様子を見た」と、そんな新潟の仕掛けの変化を見据えながら対応した。「うちの左を狙われていたので、4プラス1の5枚で左寄りになる感じで守りましたが、そこをうまくしのげたと思う」と評価。これで4試合負けなしで2試合連続無失点と、守備の積み上げに手応えを感じた90分になった。「攻撃の形はほとんどなかったものの、上位のチームから勝ち点1を取って帰れるのは大きい」とは本音だっただろう。

 新潟としては、復調を高らかに宣言するような魅力的なサッカーを見せたほか、先発の谷口海斗のほかに、途中から鈴木孝司、高澤優也も投入してFWを3人ともピッチに立たせて貪欲にゴールを狙い続けたが、実らず。勝ち点1では物足りない結果になった。アルベルト監督の「あらゆる方法で攻撃を試みました。中央突破、サイド攻撃、セットプレーも含めてゴールを目指しました。しかし、今シーズン抱え続けている決定力不足で決められませんでした」という言葉がすべてを表していた。

「まだまだ試合は残っていますし、ライバルも勝ち点をこぼすことが予想されます。あきらめる必要はまったくないと思います」とアルベルト監督。改めて「今日、表現したプレーこそが突き進むべき道です」と強調したのは、ゴールこそなかったものの、ここ数試合で失いかけていた「自分たち自身」を取り戻せたことの確信からでもあっただろう。

写真◎J.LEAGUE