J2第27節、V・ファーレン長崎は敵地でジェフユナイテッド千葉と対戦した。アウェー3連戦の3試合目。連戦による疲労の蓄積は大きく、結果は0-2で敗れた。だが、GK富澤雅也は好セーブを連発し、最後まで試合を緊張感あるものにした。

上写真=好セーブで何度も失点を防いだ富澤雅也(写真◎J.LEAGUE)

■2021年8月28日 明治安田生命J2リーグ第27節(@フクアリ/観衆3,588人)
千葉 2-0 長崎
得点:(千)櫻川ソロモン、船山貴之

1失点目直前の選択を成長の糧に

 千葉は中5日、長崎は中2日で迎えたこの試合。さらに長崎にとっては真夏のアウェー3連戦の3試合目。立ち上がりから明らかに足が重く、ゴール前までボールを運べない苦しい試合となった。13分にCKから失点。前半はその後も押し込まれる展開が続いた。後半アディショナルタイムにはパスを拾われ2失点目を喫する。それでも、90分を通してチームが大崩れしなかったのは、守護神の存在があったからにほかならない。

 富澤雅也。5月に就任した松田浩監督のもとで、完封勝利を実現した第15節のファジアーノ岡山戦から先発出場を続ける。安定したセービングを持ち味とするGKで、その特徴は千葉戦でも随所に発揮された。 

 1失点目を喫したあとの19分、CKのこぼれ球からコースを狙われた末吉塁のミドルシュートを見事にストップ。28分には、ロングボールをコントロールされ、即座に守備陣の間を縫うように放たれた櫻川ソロモンのシュートを右手一本でかき出した。

 圧巻のプレーは33分だ。CKの流れからボールをつながれ、最後は至近距離から鈴木大輔にプッシュされたが、それに素早く反応して体全体でブロック。前半は千葉に2点目を許さず、後半の巻き返しに期待を抱かせる獅子奮迅の活躍だった。

 長崎は後半、3人同時交代などの策を打って攻勢に出たが、結局ノーゴールに。そのなかで90分を通して健闘した富澤だったが、ミスがあったと悔やむ。

「チームとして相手のセットプレーを警戒していたが、僕自身は失点をする前のシーンが反省すべきところだった」

 1失点目はCKから決められたが、CKを招いた直前の自身のプレーに目を向けた。松田浩監督も「先制された場面はCKにしなくてもよかった」と語ったように、CKとなった福満隆貴の右からのクロスへの対応には、別の処理の仕方があったのかもしれない。今シーズン好調の28歳だが、「個人的にはまだまだ。質と強度を上げていきたい」と今後の成長を誓った。

 アウェー3連戦を1勝1分け1敗で終えたチームは次戦、1週間の準備期間を経てFC琉球戦を迎える。同一戦からはホームゲームが3つ続く。

「(アウェーでの)この3試合は下を向く内容ではない。経験や改善しなければならないところを次に生かしていきたい」。富澤の視線は早くも、次の試合へと向けられていた。

取材◎高野直樹