上写真=谷口海斗が決めて福田晃斗(右)と髙澤優也(左)と喜び合う(写真◎ALBIREX NIIGATA/J.LEAGUE)
■2021年8月9日 明治安田生命J2リーグ第24節(@デンカS/観衆12,587人)
新潟 2-2 大宮
得点者:(新)島田譲、谷口海斗
(大)中野誠也、西村慧祐
2ケタ得点まであと1
谷口海斗はさまざまな潜在能力を秘めている。昨季、J3のロアッソ熊本で得点王を取ったように、ゴール前での決定力は魅力的。今季加わったアルビレックス新潟では1トップだけではなく右サイドハーフに入ることもあって、ワイドの位置から斜めにゴール前に入ってくる迫力でチャンスに絡んでいる。
そして、J2再開初戦の大宮アルディージャ戦では1トップで先発し、64分の交代策で左サイドハーフに回った。未経験ではないが、ほとんど実戦ではプレーしていないサイドだ。
とはいえ、1トップでも左に流れるのはそもそも得意。17分には右CKが流れてきたところを左で拾って、カットインから鋭いシュートを放った。28分にも島田譲がセカンドボールを拾ってからすかさず左前につけ、受けた谷口はまたもカットインで右足を振っている。45分にもカウンターから左サイドに走り出した足元に堀米悠斗からの縦パスが入ってきて抜け出し、中央に折り返してもいる。90+1分には右からの星雄次のクロスに左から中に入ってヘッドでたたきながら、ボールは右ポストへ。
そんな勢いは、アディショナルタイム4分に実った。またも右サイドの星からのクロスが飛んできて、DFに当たって左に流れたところを拾って戻りながらのカットイン、腰をしっかり入れて右足をコンパクトに振ると、ボールはDFの股下を抜けてゴール左に転がり込んだ。
「自分で打ちにいこうということと、監督からも言われていたので、うまくコースにいってくれてよかったです」
これが2-1となる一撃で、アディショナルタイムの目安は6分だったから、勝利をつかみ取った、と誰もが思っただろう。大宮の選手以外は。
このゴールのあとのキックオフからゴール前にロングパスを放り込まれ、最後は見事なボレー弾で同点にされる。なんという悪夢。
「ちょっとしたことで結果が変わってしまうということを改めて実感した…というか痛感しました」
勝ち越しゴールの大歓喜から一転、負けたかのように呆然とした新潟の選手たち。圧倒しながらも勝てないという現実がのしかかった。
「自分たちの強みとされていた部分でしっかりやれて、あとは決めきる部分で質を上げたりシュートの精度も大切ですけれど、もっとシュートを打っていいのかなと思います」
この日、チームで記録したシュートは16本で、そのうち谷口は最多の4本を放っている。だが、まだまだ打たなければならないという反省を刻んだ。
それでも、次の試合はめぐってくる。
「負けていないというところをポジティブにとらえて、次はしっかり勝ちにいって結果を求めてやっていきたいです」
この日のゴールが今季9点目。チームでは高木善朗の10に次いで2番目に多い。2ケタまであと1だ。J3では昨季18ゴールを決めているから、今度はJ2でその数字を超えたいところだ。
加わったばかりの髙澤優也もこの大宮戦で途中出場して、鈴木孝司と合わせて個性の違うストライカー3人がピッチに並び立った。谷口はここ4試合で3ゴールと量産体制で、アルベルト監督の信頼も厚い。裏抜けが得意でサイドでもプレーできる強みをさらに生かして、次は勝利をもぎ取るゴールを決めてみせる。
写真◎ALBIREX NIIGATA/J.LEAGUE