明治安田生命J2リーグは8月9日の再開に向けて、各チームが動き出している。首位に立つのは京都サンガF.C.だ。チョウ・キジェ監督が落とし込むのは、とにかくゴールへ向かうサッカー。その激しいアクションは、夏だからこそ追求していくべきものだと力説する。

上写真=7月24日から練習再開。首位に立つチョウ・キジェ監督と選手たちは残り19試合で一気に駆け抜けたい(写真提供◎京都サンガF.C.)

「見ている人が腰を浮かせるような」

「リフレッシュしていい顔をして帰ってきたので、いいオフになったと思いますよ」

 選手の様子をそう語ったたチョウ・キジェ監督自身の表情が、リラックスして、力がみなぎっていた。7月24日、京都サンガF.C.が再始動だ。

 17日のアルビレックス新潟戦に引き分けたあと、6日間の完全オフ。「あれだけインテンシティの高いサッカーをしてきたので、オールフリーにしないとエネルギーを充電できないな」と考えたという。前半戦を自分たちのやり方で戦い抜いた充実感の裏返しでもある。

 その新潟戦は、ほぼ完璧な前半に先制しながら、後半に追いつかれて1-1だった。しかし、とにかく素晴らしいゲームだった。

「監督として10年近くの時間を過ごさせてもらっていますけれど、本当にスペクタクルだと思えるゲームというのはそんなにないんですね。でも、新潟戦は開始のホイッスルから最後のホイッスルが鳴るまで、自分たちらしい戦いができたと思います。手前味噌ではなくて、見ている人が腰を浮かせるような、思わず立ち上がってしまうような場面がたくさんありました。ボールを奪うときの全力感、ゴールに向かうときのスピード感、ボールが常にゴールに向かっていく様を、つまりやってきたこと、やりたいことを愚直に見せることができた試合だと思います。もちろん、それだけではいけなくて、だからこそ勝ち点3を取れなかった悔しさも残ります。でも、サッカー人としては面白くて豊かな時間を過ごせたと思っています」

 勝利はもちろんだが、この「腰を浮かせるような」スペクタクルを京都の人たちに届けることを大きな目標に掲げるだけに、一つの達成を見た90分だっただろう。

 これで首位に立った。ここからは、昇格を現実的にもぎ取るための残り19試合である。リーグ戦では8月に4試合、9月に4試合、10月に5試合、11月に5試合、12月に1試合が予定されている。まずはこの夏を乗り越えたい。ここまで積み上げてきたパワー全開のスタイルを貫くのか、あるいは「夏仕様」に衣替えするのか。

 情熱の監督には愚問だった。

「夏だからこそ、ですよ。暑いからこそコンパクトフィールドを保って間延びしないことです。暑さを味方にするには選手同士の距離感や、自分たちから仕掛けるプレーを見せないと差が出てこないので。京都サンガとしてこういうサッカーをしていくのに、夏が来たからやめた、では、本物ではないと思います。志高くやってきます」

 ここまでの23試合は14勝6分け3敗で、特筆すべきは22チームで最も少ない失点16だろう。

「相手陣内に人数をかけることで即時奪回できてカウンターを食らわない。その戦い方は、いままでならカウンターで失点するので取り組めなかったのですが、失点が少なくなることが担保されるのであれば、相手のペナルティーエリアの近くに人をかけるのが王道かなと。攻撃が失点の少なさを生んで得点を増やす。そのダブルメリットを追求していくのがこれからの19試合プラス天皇杯で大事だと思っているので、選手と共有したいと思います」

 それがサンガ2021のやり方だ。後半戦は8月9日18時半キックオフのFC町田ゼルビア戦でスタートする。