京都サンガF.C.が明治安田生命J2リーグで首位に立って、再開後の後半戦に臨む。好調のチームにあって、福岡慎平の存在感は増すばかり。チョウ・キジェ監督のスタイルを全身に染み込ませて戦う姿勢が、チームを支えている。かつての仲間、久保建英から得た刺激で、J1昇格へ走り続ける。

上写真=福岡慎平も日々の練習から充実。首位に立った京都の象徴的な存在として戦っていく(写真提供◎京都サンガF.C.)

「めちゃくちゃ気持ちよかった」新潟戦のゴール

 京都サンガF.C.が首位だ。7月17日のJ2第23節でアルビレックス新潟との上位決戦を戦い、1-1で引き分けたもののランキングのトップに浮上、そのまま中断期間を迎えた。

「直近の新潟戦ではやりたいサッカーがやれたと思っています。前半は特に前からのプレスで奪って攻めることができて、後半にもう少し工夫すれば自分たちのゲーム運びになりました。そんな課題が見えましたけれど、それは悪くないことなので、後半戦に向けてしっかり詰めていきたい」

 福岡慎平の手応えが確かなものであることは、その自信にあふれた口調から伝わってくる。福岡がインサイドハーフというポジションで求められるタスクは、京都では「BB」と呼ばれている。「box to box」の略で、つまり最前線から最後尾まで走り抜くことが使命だ。周囲と連動しながらポジションもどんどん変えていく。

「味方とポジションがかぶらないこと、同じレーンに立たないことを意識していますね。かぶるとパスコースが減ってしまうので。サイドバックと右サイドハーフと、BBの自分とが、その関係性でポジションを取ることを意識しています」

 だから相手は捕まえづらいし、どんどんと人が湧き出てくるようなプレスと、そこからのゴールへの展開につながっていくのだ。「最初は結構、頭もこんがらがって難しかった」と苦笑いだが、「チョウさん(チョウ・キジェ監督)が練習でいろいろ取り入れてくれて整理しながらできています」とポジションのローテーションにも手応えあり。「さらに質を高くできればチームとしても完成度が高くなると思っています」と後半戦にも明るい道筋が見えている。

 一方で、個人的には「もっともっと決められるシーンがあったのに3ゴールですから」と不満も募る。だが、イメージはある。一つは新潟戦のゴールだ。右サイドで前から守備ではめていき、大きく蹴らせてから回収。中央を経由して逆サイドへ展開して最後は荻原拓也が決める理想的なゴールだった。

「めちゃくちゃ気持ちよかったですし、やりたかったゴールの取り方の一つでもありました。オギが決めてくれて、リーグ初ゴールだったって知らなかったんですけど、士気が上がったので良かったな、と」

 もう一つは、久保建英だ。アンダー世代でともに戦った仲間がいま、オリンピック代表のエースとして晴れ舞台に立っている。7月25日のグループステージ第2戦・メキシコ戦で久保が決めた先制ゴールは、右からの堂安律のマイナスのセンタリングに対して、ゴール前のスペースに入ってきて蹴り込んだものだった。福岡のイメージとシンクロする。

「空いたスペースを見つけるのが自分の良さだと思っています。クロスに対して入ってきてヘディングとか、あとは昨日のオリンピックの試合で建英のように入っていくシーンができるようになれば、怖い選手、得点できる選手になれると思います」

 もちろん、悔しさもある。24歳以下の日本代表として自分があそこに立つ権利はあるからだ。

「とても刺激になっていますし、心から応援しています。でも、複雑な気持ちもあるんです。僕も東京世代として絡んでいかなければいけなかったですから。いまは場所は違うけれど、しっかりプレーで表現して、いつかA代表で一緒にやりたいと思います」

 そのためにも、いまは京都フットボールの象徴的な存在としてJ1昇格のために戦う時期。だから今日も、全力で走り続ける。