上写真＝79分に同点弾を決めた黒川淳史がサポーターと喜びを分かち合う（写真◎J.LEAGUE）
■2021年7月18日 明治安田生命J2リーグ第23節（＠NACK/観衆4,567人）
大宮 2-2 琉球
得点者：（大）イバ、黒川淳史
（琉）上原慎也、赤嶺真吾
「結果がすべて。いい試合はいらない」と霜田監督
攻め合いの末のドロー劇。7月18日のJ2第23節、大宮アルディージャ対FC琉球の一戦は、大宮は勝てば他会場の結果次第では降格圏から脱出できる可能性があり、琉球も勝ち点3を加えれば3位に立つことができたが、2−2の痛み分けに終わった。
試合そのものはアクティブな90分だった。キックオフからどちらも攻める気満々。2分に琉球が中川風希がシュートを放ったがGK上田智輝が触ってバー直撃、4分には大宮が右からの馬渡和彰のクロスに逆サイドで松本大弥が狙うが、GK猪瀬康介がセーブ。直後の左CKから西村慧祐のヘッドはバーをなめた。そんな攻め合いの中から琉球の先制弾は生まれたのだった。
8分に左からのFKが右サイドに流れ、戻したところで風間宏矢が縦パスを突き刺してフリーの阿部拓馬へ。逆サイドに優しいクロスを送ると、上原慎也がフリーになっていた。絵に描いたような右足の鮮やかなジャンピングボレーでたたいたボールが気持ちよさそうにゴールに吸い込まれていった。
大宮もチャンスを迎えた。14分にカウンターから松田詠太郎が右に抜け出してGKと1対1になるが、シュートは右へ。28分には松田がドリブルでつっかけて短く中へ、黒川淳史が鋭くニアを狙ったが、猪瀬がまたも素早く反応してかき出した。
この攻撃の意欲が報われたのは、後半に入ってすぐのことだった。ピッチに入ったばかりの柴山昌也が左サイドから得意のドリブルで切り込んだところで倒されてPKを獲得。イバが落ち着いて決めて、50分に同点に追いついた。
これで一気に勢いに乗った大宮はさらにたたみかけるのだが、フィニッシュやクロスが少しずつずれて、琉球の集中守備もあってゴールは割れず。76分には一気に3人を交代させて勝負を決めにかかるのだが、それで自分たちが混乱したのか、直後の78分に琉球の右CKから赤嶺真吾にヘッドで押し込まれて、またもリードを許した。
ところが、これで終わらないのがこの日の大宮。1分後に相手のバックパスミスを引っ掛けたネルミン・ハスキッチが突き進んで中央へ。受けた黒川が冷静にDFを外してゴールに蹴り込んだのだ。
琉球からすれば2度のリードを追いつかれた痛恨のドロー。樋口靖洋監督は「妥当な内容」とお互いに攻めた90分を振り返ったが、「2度のリードを追いつかれて、勝ち点3を逃したと率直に思う」と本音も。大宮も霜田正浩監督が「狙っていたことはできたと思っています。足りなかったのはあと1点、勝ち点3だけでした」と確かな手応えを感じながらも結果に結びつかないもどかしさに、「結果がすべて。いい試合はいらない」と悔しさを隠さなかった。
現地取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE