サガン鳥栖のFW豊田陽平が7月5日、栃木SCに完全移籍することが両クラブから発表された。鳥栖で12年プレーした、チームの、クラブの象徴的存在が決意の移籍だ。今季、鳥栖ではリーグ戦3試合のみの出場となっていて、試合出場を求めて背番号31の黄色のユニフォームに袖を通す。

上写真=豊田陽平の代名詞はゴールのあとの飛行機ポーズ。栃木で何度見せることができるか(写真は2017年)(写真◎Getty Images)

「サガン鳥栖で過ごした全ての時間が特別なもの」

 豊田陽平は、これまでサガン鳥栖のために見せてきた熱い思いをそのままに、栃木SCに旅立つことになった。情熱的に表現してきたそのプレーを、今度は栃木の上位浮上へのパワーに変える。

「栃木SCを愛する皆様、サガン鳥栖より加入しました豊田陽平です。 チームも私もまだまだ成長できると確信し、お世話になることを決めました。レンタルではなく、退路を断ち完全移籍という意味がまず、私が最初に皆様に見せる誠意です。これまでと変わらずチームを最優先に、自分にできる役割をしっかり果たし、クラブがより前進できるよう努力していく所存です」

 クラブを通して新チームへのファン・サポーターに発したメッセージの一字一句が、その熱量の高さを物語る。36歳で退路を断っての勝負。185センチの長身を生かし、体ごとゴールに突っ込むような恐れを知らないプレースタイルは健在だ。栃木には187センチと同じく長身の矢野貴章がいて、ド迫力のツインタワーが見られそうだ。栃木は現在、22チーム中17位。J1、J2通算でリーグ戦301試合出場124得点という堂々たるキャリアで積み上げた力を、新天地で思う存分発揮するつもりだ。

 また、鳥栖のファン・サポーターにも、深い感謝の気持ちをクラブを通して発表している。

「いつもサガン鳥栖へ、どんな時でも熱い熱い応援をいただき、ありがとうございます。
 この度、豊田陽平は栃木SCへ完全移籍する決断をしましたことを報告させていただきます。
 サガン鳥栖でプレーして12年。J2得点王、J1昇格、Jリーグベストイレブン、日本代表選出など多くの経験と成長がサガン鳥栖と共にありました。そしてサガン鳥栖で過ごした全ての時間が特別なものであり、どんな時も自分の背中をしっかりと押してくれたのはサガン鳥栖サポーター皆様の存在でした。サガン鳥栖サポーターの皆様と共に味わった感動の日々は、どんなに苦しい時でも正々堂々と真っ直ぐに進んで行きたい自分の気持ちに寄り添ってくれるものでした。そんな思いを背負ってプレーすることができた自分は本当に幸せでしたし、これからも皆様と共に喜びを分かち合っていきたいと思う気持ちは変わりません。ただ自分自身がその気持ちに応え、表現ができるのは、最後の最後までピッチの上で戦い続け、泥臭くても、勝負にこだわり続け、ゴールにこだわり続ける姿であるとも思っています。皆様に支えてもらった日々のことを考えるとこれまでにないくらい苦渋の決断ではありましたが、皆様の思いを感謝に変えて、プロの世界の中で戦い続けていきたい、自分自身を表現し続けていきたいと思い移籍を決意いたしました。本当に大きく大きく成長をさせてもらった皆様に感謝の気持ちしかありません。そしてまだまだ言いたいことも伝えたいこともたくさんあります。ですが、これからの自分自身の姿を見てもらうことで豊田陽平からの気持ちを受け止めていただければありがたいです。
 最後に、サガン鳥栖を愛してくださる皆様、本当にありがとうございました」

プロフィール
豊田陽平(とよだ・ようへい)
■ポジション:FW
■背番号:31
■生年月日:1985年4月11日(36歳)
■出身:石川県
■身長/体重:185cm/79kg
■経歴:星稜高→名古屋グランパスエイト→モンテディオ山形→名古屋グランパスエイト→モンテディオ山形→名古屋グランパス→京都サンガF.C.→サガン鳥栖 →蔚山現代FC(韓国)→サガン鳥栖