7月3日の明治安田生命J2リーグ第21節でジュビロ磐田に敗れたアルビレックス新潟。この結果、4位に後退することになるのだが、悪いことばかりではない。昨年11月に左ひざに重傷を負った福田晃斗が、ついに帰ってきたのだ。前半戦最後の試合での復帰は、後半戦に逆襲を誓う新潟の大きな大きな力になる。

上写真=福田晃斗が帰ってきた! 4位に後退した新潟の後半戦のキーマンになる(写真◎J.LEAGUE)

■2021年7月3日 明治安田生命J2リーグ第21節(@エコパ/観衆13,652人)
磐田 3-2 新潟
得点者:(磐)松本昌也、ルキアン、森岡陸
    (新)ロメロ・フランク、谷口海斗

「夏の補強は俺たちだ!」

 8カ月。長かった。でも、福田晃斗は帰ってきた。

 昨年8月に湘南ベルマーレから加わったが、3カ月後の11月8日、ギラヴァンツ北九州戦で負傷、左ひざ前十字靭帯断裂、左ひざ外側半月板損傷という重傷に襲われた。しかし、単独でフルコートプレスを可能にするスタミナ、守備から攻撃へのすきまない連続性の素晴らしさに心をつかまれたサポーターは、待っていた。7月3日のJ2第21節、前半戦最後となるジュビロ磐田戦で、72分に本間至恩に代わってピッチに登場した。

「まず、復帰のためにサポートしてくれた方々に感謝を申し上げたいと思います。家族は一番近くで支えてくれたので、率直に家族に感謝しています。そして、サポーターの方、チームの関係者の皆さん、応援してくれた皆さんに感謝の思いでいっぱいです」

 それが素直な気持ちだった。その特別な思いを、さっそくプレーで示してみせた。0-3と苦しい状況で登場してからわずか4分後、左から堀米悠斗のパスを受けると、ペナルティーエリアの中にいたロメロ・フランクに突き刺すような鋭い高速パスを送ったのだ。ターンしたフランクはキックフェイントから切り返して左足でシュート、これが相手に当たってハンドの反則となってPKを獲得した。フランクが自ら決めた反撃のゴールは、福田の右足が導き出したのだ。

「サッカー的なところでいうと、練習試合もしていなかったので8カ月ぶりにフルコートでプレーしました。内心、大丈夫かなという思いがあったけれど、8カ月前の自分がそこにいました」

 小さな不安と、大きな手応え。

「ファーストプレーでトラップで相手をかわして、動けるなと率直に思いました。負けていたので思い切ってやらなければいけなかったので、負けたけれど個人的には復帰してプレーできて、8カ月、頑張ってきてよかったなと。自分を少し褒めてあげたいし、来週さらにいいプレーができるように頑張りたい」

 一足先に復帰していた小島亨介たちとともに、負傷からの復帰を目指す選手たちで「夏の補強は俺たちだ!」とホワイトボードに掲げて、心を高めてきたという。ちょうどシーズンの折り返しのタイミングで帰ってきたのは、なにかの縁だろう。

「もちろん昇格はみんな意識しているけれど、口にする必要もないと思います。一人ひとりがいいプレーをすればチームのレベルは上がります。矢印を自分に向けて取り組んでいく必要があります」

 本当に頼もしい男が帰ってきた。背番号17の存在そのものが、後半戦に向けた新潟の高らかな逆襲宣言になる。

写真◎J.LEAGUE