アルビレックス新潟の守護神が帰ってきた。6月9日の天皇杯2回戦でピッチに帰ってきた小島亨介が、13日の明治安田生命J2リーグ第18節でリーグ戦に復帰。ファジアーノ岡山とのゲームでオフサイドとも思われる失点を食らって敗れたが、そのときの守り方についてハイレベルな改善を自分たちに求めるのだった。

上写真=小島亨介が今季初出場。得意の足技でビルドアップにも参加して攻撃の第一歩としても機能的だった(写真◎J.LEAGUE)

■2021年6月13日 明治安田生命J2リーグ第18節(@デンカS/観衆12,689人)
新潟 0-1 岡山
得点:(岡)上門知樹

「緊張感は持ちつつ、思い切ってプレーしようと」

 2月に左脛骨疲労骨折のために手術を受けていたアルビレックス新潟のGK小島亨介が、ついにリーグ戦の舞台に帰ってきた。すでに4日前の天皇杯2回戦、ツエーゲン金沢戦で出場はしていたが、J2第18節のファジアーノ岡山戦でリーグとしては今季初出場を果たした。

「緊張感は持ちつつ、思い切ってプレーしようと意識して臨みました」

 積極的にペナルティーエリアを飛び出してビルドアップに参加する自信のプレーを何度も見せれば、クロスにもしっかり反応してパンチングでかき出す安定感も披露。「守護神健在」を強く印象づけた。

 しかし、0-1で敗れてしまう。68分、左サイドで上門知樹に抜け出され、小島はすぐさま前に出たが、右脇を抜かれた。

 アルベルト監督も試合後に「明らかにオフサイドだった」と憤りを口にした場面。小島にとってはせっかくの復帰戦で、もどかしさの残るシーンになった。

「試合が進むにつれて横を見ながらうまくラインアップしていましたし、あのシーンも試合のときにはどうなっているかわからななかったけれど、終わってから映像を見たら、しっかりラインも統一されていていいディフェンダーの状態でしたけど、失点につながってしまいました」

 繊細なコントロールと意思の疎通が必要とされる最終ラインの設定において、それがきちんとできていたからこそ、悔やまれる。

「ただ、一つ言えるのは」と小島は続けた。

「すべてラインを上げきるだけというのもどうかなと自分の中でも思っていて、相手が残っていてラインが曖昧なのであれば相手についていくとか、完全に捨てきっちゃうようなシーンはJ2だとVARもないのでなかなか難しい判断もあります。だから、自分たちとしては、ああいったシーンも相手についていって対応するのが最後にできることなのかと思いました」

 最終ラインを破られそうなときに予測して、自分たちからラインを崩してでも相手の動きについていく、という守備の手法だ。今回のシーンでは喜山康平の縦パスを宮崎幾笑がフリックしたパスが通ったから、ほんの一瞬の出来事。対応するのはかなりの高難度だ。それでもゴールを預かる身としては、判定そのもののことよりも自分たちにできることを探すことを優先した。

「変わらずラインの高さは保ちたいと思いますし、こまめにやりながら、今後は相手を見ながらラインを上げたり、蹴られる瞬間にラインを一斉に下げて準備できるような守備を心がけていきたいと思っています」

 これでついに3位に後退、昇格圏外へと追いやられたが、小島にとってはここが「開幕」だ。仲間が積み上げてきたサッカーを、自らの力でさらに進化させていく。