2位のアルビレックス新潟と3位のFC琉球の上位対決として注目が集まった、5月30日の明治安田生命J2リーグ第16節。琉球のGK田口潤人は古巣のホームスタジアムで初めてプレーして、喜びを感じながらも、逆転負けを喫した悔しさをかみ締めながら、足りないものをしっかり見つめていた。

上写真=田口潤人は古巣のホームスタジアムで初めてプレー。喜びと悔しさを同時に味わった(写真◎J.LEAGUE)

■2021年5月30日 明治安田生命J2リーグ第16節(@デンカS/観衆14,759人)
新潟 2-1 琉球
得点:(新)高木善朗、谷口海斗
   (琉)池田廉

「入るか入らないかという局面で自分が仕事をしないと」

 初めてのビッグスワンだった。

 琉球のGK田口潤人は2018年から2シーズン、アルビレックス新潟に所属していたが、リーグ戦の出場はなし。琉球に移籍した昨年はこの古巣対決はベンチから見つめていたから、この日、初めて新潟のホームスタジアムに立って、戦った。

「新潟のサポーターにたくさん来ていただいたので、最近ではないような雰囲気で試合ができて、率直に楽しかったですし、幸せを感じました」

 それがストレートな思いだった。

 スタジアムに集まったのは14,759人。入場制限がある中で、この数は他のスタジアムではなかなかない。

「僕たちはアウェーですけど、大観衆のサポーターを黙らせて勝って帰るのが目標でした。新潟に負けたというのもあるし、連敗したのもあるし、重ねて悔しい一戦でした」

 28分に池田廉が新潟の最終ラインの裏を突いて、見事に流し込む先制ゴールを決めていた。だが、その直後に右クロスから高木善朗にテクニカルなシュートを決められて同点に追いつかれると、67分には中央を強引に破られて谷口海斗に逆転ゴールを許した。

「どんな形であれ、2失点して敗戦したのは悔しくて、失点の内容はマークのところだったり、中央を破られてもったいなかった。1点目は自分もディフェンダーもあそこにボールが来る予測はあったけれど、高木(善朗)選手がそれを上回るシュートを打ってきて防ぐことができませんでした。2点目はスクランブルで打たれましたが、個人的に対応が良くなかった。入るか入らないかという局面で自分が仕事をしないと勝てないです」

 ゴールマウスを守る立場としては、破られればすべて自分に責任を求める。

「1点目を取られた時間も先制した直後だし、2点目も給水という区切りの手前でした。2点目の前には給水まではこのまましのごうと話していたにも関わらず破られたので、メンタル的な集中で片付けられないところはありますが、より一層声を掛け合うのは必要だと思います」

 ともにボールを大事にしながら、しっかりとサッカーをするチームだから、自分たちと新潟の差はより鮮明に浮き上がるのかもしれない。

「ポゼッションは新潟の方がよりオーガナイズされていて、プレッシーをかけても顔を出す選手がいて慌てないのは、センターバックを見て分かります。そこはまだまだ足りないところで、ポジショニングやサポートの位置はあらためて確認が必要だと思います」

 今回は逆転負けを喫したが、同じポリシーを持つ新潟から刺激を受ける面もたくさんあった。田口にとってはいわば、古巣からのプレゼントだ。それを大切に持ち帰って、次はホームで勝ってみせる。

写真◎J.LEAGUE