5月29日の明治安田生命J2リーグ第16節で佐々木則夫監督が初陣に臨んだ大宮アルディージャは、ジェフユナイテッド千葉を迎えた。右サイドのコンビネーションから先制した千葉は、後半にも同じく右を攻略して2-0に。大宮は直後の3人同時交代などで押し込んだが、ゴールは遠かった。

上写真=追加点を決めたサウダーニャが最高の笑顔。アウェーでの2-0の勝利で千葉は5試合負けなしとノッてきた(写真◎J.LEAGUE)

■2021年5月29日 明治安田生命J2リーグ第16節(@NACK/観衆4,351人)
大宮 0-2 千葉
得点:(千)見木友哉、サウダーニャ

右サイドのコンビネーション

 ネルミン・ハスキッチとサウダーニャ。大宮アルディージャとジェフユナイテッド千葉が最前線に据えた外国人FWだ。ホームの大宮が押し込みながら、千葉がカウンターでやり返す前半の流れの中で、どちらも高い位置でボールを引き出してポイントになる役割を果たしていた。つまり、彼らにいいパスが入ればチャンスが始まり、入らなければ逆襲を食らう。

 どちらも特徴を生かして起点になったから、優位性を手にするとすればその周囲の選手の役割だ。大宮は黒川淳史がセカンドトップ的にハスキッチに関わり、クリエイティブなコンビプレーも見せるが、ビッグチャンスにまでは結びつかない。千葉はサウダーニャの下に船山貴之と見木友哉が並んで代わる代わるサポートしていくと、40分の先制ゴールはまさにその2人が絡んで生み出したものだった。

 最終ラインからチャン・ミンギュが高精度のロングパスを右サイドに送り込むと、船山が優しく収め、オーバーラップしてきた岡野洵へ。ゴールラインと平行に送るセンタリングがDFとGKの間を通り抜けて、最後はファーサイドにフリーで入ってきた見木がプッシュした。

 そして、サウダーニャだ。後半開始間もない52分に右サイドで見木に送ってそのままゴール前へ走り出す。見木がドリブルで3人を引きつけてできたスペースでもらうと左足でパワーショット、GK笠原昂史に触られながらもぶち破った。

「攻撃陣のコンビネーションが久々に出ました」と振り返るのが尹晶煥監督だ。

「そこはずっと続けて話してきたことでした。前半はサウダーニャが少し持ちすぎてタイミングが合わなかったけれど、後半は修正できて得点できました。今日をきっかけに前のコンビネーションがさらに出ることを期待しています」

「僕が下を向いたら選手もやっていられない」と佐々木監督

 大宮はこの直後の56分に動いた。この試合が初采配となる佐々木則夫監督が3人を同時に送り込んで、劣勢挽回のスイッチオン。特にイバを入れてハスキッチと並べた前線は迫力があったが、そこになかなかボールが合わない。74分に翁長聖のセンタリングにハスキッチが左足を振って強烈なシュートを放ったシーンも、GK新井章太のファインセーブに泣いた。

 気温33.2度という高温も選手たちの足を止める要因となり、終盤は大宮も1点を狙ってボールを前線に送り込むが、ゴールを割ることはできなかった。

 大宮は監督交代の劇薬も、すぐには効かず。佐々木則夫監督は「勝たせられなかったのは私の責任です」と反省の弁だ。

「千葉は(最終ラインの)3枚が開いてボールを動かすけれど、こちらのシステムを4-4-2から変化させてマッチアップさせてどんどん規制をかけることは連係できました。立ち上がりからイニシアチブを取ろうとして、後ろに下げるのは状況次第だけれど、前を優先でプレーしようと」

 その意欲がスコアとしては実らなかった。佐々木監督は「結果的に負けたのは不思議な負けはないので反省を含めて1週間、いい準備をして金沢戦に向かっていきます」と認めたが、意欲は誰よりも強い。「僕が下を向いたら、代わったばかりで選手もやっていられないと思います。前を向いてガンガン選手を鼓舞して引っ張っていきたい」と言葉に力を込めた。

現地取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE