大宮がおかしい――。5シーズンぶりのJ1昇格を目指しながら、まったく結果の出ていない状態が続いている。4チームがJ3へ自動降格するという厳しいレギュレーションの中、一時は最下位に沈みながらもクラブは全く動こうとしていないように見える。今、大宮はどうしようとしているのか。強化部門の最高責任者である西脇徹也フットボール本部長に話を聞いた。

上写真=14節の岡山戦はホームでスコアレスドローに終わった大宮。浮上のきっかけをつかめない状態が続いている(写真◎J.LEAGUE)

取材・文◎土地将靖

「大枠で見ると守備は整ってきている」

 新たに岩瀬健監督を迎え、5シーズンぶりのJ1昇格を目指しシーズンに臨んだ大宮だったが、今季ここまでまったく結果が出ていない。

 開幕戦で水戸に逆転勝利した以降、3連敗。スタイルを変えて臨んだ長崎戦で今季2勝目を挙げたが、それ以降第14節まで未勝利が続いている。第10節の町田戦に敗れJ3降格圏内に落ちたところで、クラブは公式サイトで声明文を発表。「7月の中断期間を迎えるまでが最大の正念場と捉え、シーズンの折り返しを迎える時点でJ1昇格を狙えるポジションを目指します」と改めて中間目標を設定したが、それでもまだ結果は出ていない。

 今シーズンは4チームがJ3へ自動降格する。山形、愛媛、長崎と早々に監督交代に踏み切るクラブもある中、一時はクラブとして初のJ2最下位という不名誉なポジションにまで落ち込みながら、それでもクラブに動きはないように見える。西脇氏は現状をどう捉えているのか。

「14試合で失点17は決して多くはない。一つ一つ問題解決している状況ではあるけど、大枠で見ると守備は整ってきていて、何とか1失点以内には抑えられると」

「京都に負けたあたり(第3節)から少しボールを保持する形に変えていましたが、その中でうまくボールが前に入っていかない。後ろでボールを回している時間が非常に多かった。トライする回数があまりにも少ない。何か安全にやっちゃってるような感じはします」

 チームの攻守について、このように分析する。その上で、今後は負けないことよりも勝つことが求められるわけで、そのためには守備はもちろん、得点が必須となる。

「監督やコーチから提示されたものに対してやらなきゃいけないという意識がすごくあって、個人の創造性が失われていた時間もあったと思います。でも、それが少し溶けてきて、選手のクリエイティブな部分が少しずつ出てくるようになっている。岡山戦ではボールが前に、相手コートに入っていくような形が多少はできてきた。その中で、誰をどこに置くのかという選手起用や配置のところはまだ定まってないという印象もある。そこについては個々の選手の良さを出すために、結果が出てない以上、変化を考えてもいい部分だと思います」