明治安田生命J2リーグ第11節で首位のアルビレックス新潟は5月1日、ジェフユナイテッド千葉をホームに迎えた。開始わずか5分で谷口海斗が先制したあとは千葉のプレスにはまって攻撃がトーンダウン、逆に千葉が鋭くゴールに迫った。その状況でも一つのチャンスからまたもや谷口が決めた新潟が2-0で逃げ切りに成功。ついに開幕からの無敗記録は11試合となった。

上写真=この日2点目を決めた谷口海斗が笑顔。カウンターから右足を振り抜いた気持ちの良い一発だった(写真◎J.LEAGUE)

■2021年5月1日 明治安田生命J2リーグ第11節(@デンカS/観衆12,522人)
新潟 2-0 千葉
得点:(新)谷口海斗2

「決めきれなかったことが勝敗を分けた」と尹晶煥監督

 前半のスコアは新潟の1-0だが、千葉優勢の展開だった。キックオフからしばらくは新潟が気持ちよくパスを回す「平常運転」。5分には高木善朗の左CKに谷口海斗がニアでヘッドで合わせる2試合連続ゴールであっけなく先制した。

 しかし、千葉の対応は早かった。15分になる前にはすかさず配置を変更。キックオフ時の3-3-2-2の並びから調整を加えて、前線では櫻川ソロモンを頂点に置いてその脇を見木友哉と岩崎悠人が固め、ボランチには高橋壱晟を小林祐介と並べる3-4-2-1へ。

 新潟は最終ラインでセンターバック2人を中心に、GK、サイドバックの1人、あるいはボランチの1人が絡んで3人で組み立てを始めることが多い。これに対して千葉が櫻川、見木、岩崎の数的同数でチェックするスタイルに変えてから、勢いを得た。新潟のボール回しを引っ掛け、プレッシャーでミスを誘い、あるいはパスコースを消してロングパスを蹴らせて回収していった。17分、18分、35分、39分など、ショートカウンターからゴールに迫るシーンを増やして攻勢に出た。

 後半に入っても千葉のスタンスは変わらない。最前線で3人が近い距離で相手のボール回しの起点を抑えにかかると、連続してチャンスを作った。53分に左サイドからの小田逸稀のセンタリングを櫻川が右ポスト際で右足を投げ出して合わせるが、GK阿部航斗のファインセーブにあう。56分には右サイドを破った伊東幸敏のクロスは惜しくも中央で櫻川に合わず、57分には右CKの流れから最後は櫻川がジャンピングボレーで狙うが左へ。

 千葉の尹晶煥監督からすれば「整備して前からプレッシャーをかけて良くなって、カウンターでチャンスがありましたが、決めきれなかったことが勝敗を分けました」と悔やみきれない連続のチャンス。逆に押し込まれる展開になった新潟は、アルベルト監督も「いままでで一番難しいゲームだった」と振り返るほどだったが、苦しい展開をひっくり返したのは個のパワーだった。

 63分、ハーフウェーライン手前で受けた本間至恩は、相手が手で引っ張ってきてもかいくぐり、3人のプレッシャーを単独で抜け出して前へ向かうと、左前に走った谷口へ。受けた谷口はカットインから右足で強烈に突き刺すこの日2点目で、新潟が突き放してみせた。本間の意地のドリブル、谷口のニアサイドを抜くテクニカルなシュートと、自慢の「技」が勝負を決めた。

 新潟はこれでついに11戦負けなしで、クラブ記録をさらに更新。アルベルト監督は「もちろん勝利を収めたことはうれしく思いますが、内容は必ずしも満足できるものではありませんでした」と分析。「プレスに対して足元で受けようとするプレーが多くなって、スペースへ動くプレーがなくて苦しみました」と反省しきりだった。

 配置転換で流れを取り戻した千葉の尹晶煥監督は、試合に入る姿勢を課題にあげた。「先制されて負けている状況なので前から行く状況でしたが、最初からそういう姿を出さなければいけない」と、失点後の戦いに手応えを感じただけに、序盤で勢いを欠いた部分を悔やんだ。

写真◎J.LEAGUE