レノファ山口FCの渡邉晋監督が、ミスを恐れない姿勢で浮上への勢いを生み出す考えを示した。10試合を終えて20位という現状からの巻き返しに向けて、まずは自身初のリモートマッチに臨む。

上写真=20位からの逆襲へ、渡邉監督は今季2回目の3連戦に臨む(写真◎RENOFA YAMAGUCHI)

自身初のリモートマッチへ

「ゲームの入りから先制されるまでの時間は、我々の狙いをしっかり表現できたと思っています。その後も腰が引けるようなプレーはなかったですし、チームとしての狙いは、選手が明確に意図を持ってやり抜いた90分間だったと理解しています」

 4月29日の練習後のオンライン会見で、渡邉監督は前節をこう振り返った。25日の明治安田生命J2リーグ第10節で、京都サンガF.C.とホームで対戦した山口は、27分と46分の失点で0-2の敗戦。10試合で2勝3分け5敗の20位と、思うように勝ち点を伸ばせていない。

 3連戦の最終戦だった京都戦の後は、2日間のオフを取った。休み明けのミーティングでは選手たちに、積極的なプレーの大切さを説いたという。

「攻撃面でずっと言っているのですが、いまの我々に欠けているのは、大胆さ。ミスが多い現状があるのは間違いないのですが、ミスを恐れていてはゴールも決まらない、と話しました。我々にとって最大のミスは、トライをしないこと。キャンプの前から言っていましたが、もう一度選手と確認して、ラストパス、シュート、クロスは思い切って狙おうぜ、と伝えました」

 守備は10試合で11失点。目標に掲げている1試合1失点より多く、「もっと減らせるよね、と話している」と指揮官は語るが、大きく破綻しているわけではない。現状の課題は得点力で、10試合でリーグ最少の6得点という状況を改善しなければ、順位を上げていくことは難しい。

 渡邉監督は「結果が出ていなくて、得点も少ない。思い切りを持てない状況にあるのは間違いない」と語る。それでも現状打破に向けて「そういう状況で自信を持てというのも酷な話ですから、我々にとって何がミスで、何がミスでないのかを明確にして、強く背中を押すような作業を、ミーティングを含めてやりました」と選手へのアプローチについて明かした。

 5月2日の第11節からは再び3連戦に突入する。最初の相手となるFC町田ゼルビアについて渡邉監督は「もともと守備が堅い印象で、そういうチームづくりを歴代の方がされていたと思っています。今季はプラスアルファで、たくさん得点を取っていて、複数得点も多い」とコメント。前節で加入後初出場を果たしたFWドゥドゥなど戦力の充実ぶりについても触れ、「コレクティブに戦っていて、守備から攻撃への切り替えが速く、コンビネーションのアイディアも豊富。現在の勝ち点と順位は実力を証明している」と、5勝2分け3敗で5位につける相手を評した。

 この試合は町田GIONスタジアムで、リモートマッチ(無観客試合)で開催される。初めて観客のいない試合で指揮を執る渡邉監督は「やってみないと分からない」としつつ、「スタッフに聞いたり、選手とも話す中で、こういう雰囲気だと伝えてくれている。選手の方が頼もしく、たくましくやってくれるんじゃないかと期待している」と語った。

 その上で、前節の京都の様子に触れた。京都府に緊急事態宣言が発令されたため、維新みらいふスタジアムにはアウェーゴール裏席が設置されなかったが、京都の選手たちが「誰も来ていないスタンドに向かってあいさつをしたり、勝利の雄叫びを挙げたりしていた」のを見た渡邉監督は、ミーティングで選手たちに「こういうときだからこそ、我々が届けられるものがある」と話したという。

 今回も、町田まで応援に行くつもりだったファン・サポーターがいるはずだ。「その場にいない方々にも届けなければいけないものが、たくさんあると思っている」と語った指揮官は、「山口で待っている皆さんに良いニュースを届けられるように、全力で戦いたい」と強い口調で決意を示した。