4月24日に明治安田生命J2リーグ第10節の唯一のカードとして行われたのが、愛媛FCとアルビレックス新潟の一戦。前半に圧倒的に攻め込んだ新潟は12分に先制したが、そこからのチャンスを逃し続けて苦しんだ。後半には愛媛も盛り返してリズムをつかみ、新潟に退場者が出てチャンスにもなったが、逆に追加点を決められた。新潟はこれで開幕から10試合負けなしのクラブ記録を更新した。

上写真=谷口海斗(7)が決めた先制弾に仲間と喜び合う。新潟はまたしても勝利を手にして10試合負けなし(写真◎J.LEAGUE)

■2021年4月24日 明治安田生命J2リーグ第10節(@ニンスタ/観衆1,491人)
愛媛 0-2 新潟
得点:(新)谷口海斗、本間至恩

負けたけれどポジティブな面も、と實好監督

 アルビレックス新潟に、またも素晴らしいゴールが生まれた。

 最終ラインでセンターバックの早川史哉が持ったとき、左サイドバックの堀米悠斗が中央へ斜めのダッシュ。これがスイッチになった。早川が選んだのは、そのさらに外側で待っていた左サイドハーフ本間至恩へのパス。本間は得意のカットインドリブルで中央に進むと愛媛FCの守備陣に警戒されたが、FW谷口海斗が右から中に走ったことでできた右裏のスペースへ送り込む。そこに入ってきた右サイドハーフの星雄次が折り返し、ニアに猛然と駆け込んできた右サイドバックの藤原奏哉には合わなかったものの、その頭を越えた先で待ち構えた谷口がヘッドで押し込んだ。少なくとも6人が直接的に関与した、12分の理想的な先制弾。谷口にとっては「今季初」「移籍後初」「J2初」のゴールだ。

 ともに中2日でのゲームで全体的にスローペースだったが、ホーム連戦の愛媛とアウェー連戦の新潟では、新潟の方がやや難しい条件だった。しかし、愛媛が守備のときに敷いてきた4-5-1のブロックを、新潟が得意のパスワークで面白いようにかいくぐって、何度もチャンスをつくっていった。

 ただし、ゴールはこの一つ。14分、19分、30分、34分、45+1分、45+2分など、決めきれなかったことがどんな影響を与えるのかが後半のポイントになった。

 愛媛は前半は新潟に合わせる格好になって後手に回ったが、後半から森谷賢太郎を投入すると一変。ボールを足元に収められる森谷の独特のリズムから、両ウイングをうまく使いながら相手陣内に押し込んでいった。メンバーを入れ替えながらさらに攻めに出る時間が増え、84分には新潟の三戸舜介が2度目の警告で退場処分となって、数的優位も手に入れた。

 それでも、首位の貫録だろうか。新潟は88分、千葉和彦のロングパスから本間至恩が左に抜け出すと、そのままカットインして右足でゴールを撃ち抜いた。苦しみながらも一瞬のスキを突いた追加点だった。

 新潟はこれで、開幕から10試合負けなしのクラブ記録を更新した。アルベルト監督は反省と収穫で満足を示した。

「前半、いい形でスタートできて、サイドからの攻撃が機能していました。攻撃の緩急もいい形で作れていました。ただ、多くの決定的なチャンスを作りながら1-0でハーフタイムに入ったのは課題です」

「三戸の退場がありましたが、長崎戦でも退場者が出た展開があって、そのときには消極的に守備的にスタイルを変えてしまいました。そこから学び、今日は一人少なくてもスタイルを維持して支配し続けるという成長が見て取れたのは、ポジティブなポイントでした」

 愛媛は結局、後半にリズムを五分に引き戻しながらも、そこからのひと押しが足りずに終了。絶好調の新潟に対して、単に守備一辺倒にせずに自分たちで意図を持ってボールをサイドに回して攻めに出る正々堂々の戦いで追い詰めた。

 惜しくも3連勝はならなかったが、實好礼忠監督はその戦いぶりを評価した。

「全体的には良かったかなといま思っていて、ボール持ったときに動かすところでスムーズさが最初は出なかったけれど少しずつ良くなってきて、攻撃の回数も増えました。相手に退場選手が出て勝機が来たかなと感じたんですけど、そこで冷静なプレーができなかったところもあって失点してしまいました。ただ、ゲームは負けましたけれど、いろいろなところでポジティブにとらえています」

写真◎J.LEAGUE