上写真＝本人も驚きの完璧なオーバーヘッド。矢村健が8分にスーパーゴールを決めて仲間からの祝福を受けた（写真◎J.LEAGUE）
■2021年4月21日 明治安田生命J2リーグ第9節（＠カンセキ/観衆2,951人）
栃木 2-2 新潟
得点：（栃）森俊貴、面矢行斗
（新）矢村健、千葉和彦
「いけるかもしれないという感覚で跳んだというか」
何度でも味わいたい、それは美しいオーバーヘッドキックだった。
J2第9節の栃木SC戦。開始わずか8分で、その惚れ惚れするようなゴールはやって来た。島田譲の左サイドからのサイドチェンジで右サイドに運ぶ組み立てから、藤原奏哉と高木善朗でリズムよくパス交換をして進むと、高木がストレート系のクロスを中央に送った。
相手との距離感を微調整しながら待ち構えた矢村健がそこにいた。
「クロスに入ろうとして、ヨシくん（高木）のボールがマイナス気味だったので、ヘディングは無理だなと思って、アクロバティックなシュートは小さい頃からふざけてやっていて、いけるかもしれないという感覚で跳んだというか、うまくミートしてゴールが生まれた感じです」
サッカーの、スポーツの根源は遊びだから、まさに小さな頃からの遊び感覚がスーパーゴールとなって表れたのだ。うまくミートしたも何も、本当に完璧で、本当に美しかった。
アルベルト監督も「おそらく今シーズン、最も素晴らしく、最も美しいゴールの一つを決めてくれました。極端な激しいハイプレスを受ける中でプレースタイルを貫くことできて、矢村のゴールが生まれたことをうれしく思います」と手放しで褒め称えた。
「0から1にしたのは成長した部分」
これで今季初出場で決勝ゴールを決めた前節に続いて、2試合連続ゴールだ。前節は負傷のロメロ・フランクに代わって入り、この栃木戦は初の先発出場で結果を出した。ただ、今回は勝利に結びつかなかったから、栃木の厳しい守備に苦しんだ反省が先にくる。
「スタートで出たのが今季初めてで、後ろでビルドアップしているときに内側で受けるのか裏で受けるのか開いて受けるのか、もっとすり合わせが必要だと感じました。攻撃で前線に運べれば、特徴がどんどん生きると思いましたけど、後ろでビルドアップしているときにどこにポジションを取るかはもっともっとやっていかなければ」
先制したあと、栃木に逆転される難しい展開だったが、アディショナルタイムに千葉和彦が起死回生の同点ゴールを決めてなんとか引き分けに持ち込めたのは大きい。チームはこれで7勝2分けと、開幕からの負けなしの記録を9に伸ばした。苦しい試合で勝ち点を拾ったことは大きな進歩だ。
「最後の最後にしっかり同点にして、勝ち点を0から1にしたのは去年から成長した部分だと思います。いくつかのチャンスを決めていれば勝ちに持っていけたし、とらえ方はいろいろあると思うけれど、最低限、勝ち点1は取れたと思います。厳しい展開の中で、負けないところは大事だし、この勝ち点1が最終的に大きな1になると思って選手みんなでやっています」
この積み重ねが、最後に大きな意味を持つ。