4月21日の明治安田生命J2リーグ第9節で、栃木SCが無敗で首位のアルビレックス新潟を迎えた。新潟自慢のボール回しに対して、栃木も自分たちのスタイルであるハイブロックからのハイプレスを繰り出して、息もつかせぬ果たし合いに。新潟が先制、栃木が逆転するものの、最後の最後で新潟が追いついて、開幕からの無敗を9試合としてクラブ記録を更新した。

上写真=新潟は負けなかった。90+2分に右CKから千葉和彦がヘッドでねじ込んで2-2の同点に(写真◎J.LEAGUE)

■2021年4月21日 明治安田生命J2リーグ第9節(@カンセキ/観衆2,951人)
栃木 2-2 新潟
得点:(栃)森俊貴、面矢行斗
   (新)矢村健、千葉和彦

「追加点を取れば終わっていた試合です」

 アルビレックス新潟がボールを足元に送り込みながら前進しようとするが、それを栃木SCがハイブロックからのハイプレスで食い止める。前半からお互いの色がそのまま出たゲームになった。

 新潟の起点になるのはセンターバックの2人だが、ボールを受け渡す位置がこれまでより明らかに低い。栃木の高くコンパクトなポジショニングと激しいボールへのアタックが功を奏したと見るか、あるいは新潟が栃木の食いつき具合を見ながら、あえて下がり目で回して相手を誘っておいて走らせて、後半に攻め立てる準備としてのゲームマネジメントを施したと見るか。

 スコアも影響しただろう。8分にはいきなり新潟が先制した。しかも、スーパーゴールでだ。左からのサイドチェンジをきっかけに右サイド深くに入ってから、高木善朗がストレート系のクロス、これを矢村健が中央で美しいオーバーヘッドキックでゴールに突き刺してみせた。栃木も得意のセットプレーを生かし、24分に右ショートコーナーから松本凪生がクロス、これを中央で森俊貴がヘッドで送り込んで同点。

 後半、この戦いの正しさを証明するのは栃木か新潟か。答えは、その両方だった。

 まずは栃木。56分に右サイドからの松本のワンタッチスルーパスが新潟の守備網を破り、森が折り返し、GK阿部航斗が触ってこぼれたところをジュニーニョがシュート、これは新潟の舞行龍ジェームズがブロックするが、さらにこぼれたボールを面矢行斗が蹴り込んだ。新潟のお株を奪うような組み立てからの見事な逆転弾だった。

 栃木のハードディフェンスは結局、最後まで強度が落ちなかった。新潟も少しずつ前進することができるようになって、相手の背後を取るようになるとビッグチャンスを何度も作るが、フィニッシュの精度を欠いて実らないまま。

 ところが、今年の新潟は負けない。最後の最後、90+2分に追いつくのだ。右CKを星雄次がニアに鋭く滑り込ませると、千葉和彦がヘッドでねじ込む起死回生の同点ゴール。お互いのカラーを存分に出し合った緊迫のゲームは、最終的には痛み分けとなった。

 両監督とも、スタイルを押し出すことができたことには納得していた。ただ、アウェーのアルベルト監督は激しすぎる守備に対するジャッジに「物言い」。「日本のサッカーの成長のために言わせてもらいます」として、「栃木の守備の強度は素晴らしかった。彼らを批判しているのではありません。しかし、日本のサッカー界が歩むべき道には、このような激しすぎるプレーが許されることはプラスにならないと思っています。激しすぎるファウルに近いプレー、本来であればファウルで笛が吹かれるようなプレーが許されるのは残念だし、疑問です」と指摘した。

 その上で、「栃木はうちのスタイルを崩そうと、自分たちの土俵に引きずり込もうとしていました。それでも罠に陥らずに自分たちのスタイルを信じて表現したこと、それも今日のようなピッチコンディションで表現してくれたのは素晴らしかった」と選手を称えて、勝ち点1の獲得を前向きにとらえた。

 栃木の守備のパワーと連動性も、やはり特筆もの。田坂和昭監督は強気に振り返った。

「全体的に言えばスタイルの違いがあるチームで、新潟は新潟の、我々は我々のやり方がある中で、それを貫いた結果、怖いシーンはほぼなかったし、プレッシャーをかけて引っ掛けていました。追加点を取れば終わっていた試合です」

 それでも、最後の最後で勝ち点2を取りこぼす格好になり、「結果的には悔しいけれど、リスタートのところは個人の問題なので、改善するしかない」として、チームとしての戦い方には手応えを得たことを語った。

写真◎J.LEAGUE