4月10日の明治安田生命J2リーグ第7節で、レノファ山口FCは東京ヴェルディと対戦した。11分に幸先よく挙げた先制ゴールをアシストしたのが佐藤謙介だ。聡明なコンダクターのCKがゴールに結びついた。しかし3失点して逆転され、いまのチームに足りないものを見据えるのだった。

上写真=佐藤謙介はキャプテンマークを巻いてプレー。再三、攻撃のスイッチを入れるパスを狙った(写真◎J.LEAGUE)

■2021年4月10日 明治安田生命J2リーグ第7節(@味スタ/観衆2,377人)
東京V 3-1 山口
得点:(東)佐藤凌我、山下諒也、小池純輝
   (山)小松蓮

「ボールを大事にしてワンテンポ遅れてしまって」

 先制点を導いたのは、佐藤謙介の右足だった。

 東京ヴェルディとのJ2第7節で、レノファ山口FCのキャプテンマークを巻いた佐藤は11分と早い時間にアシストを記録した。序盤から攻勢に出て得た左CK。インスイングで蹴ったボールは高さを保ったままゴール前を通過してファーサイドに落ち、待ち構えた小松蓮がヘディングシュート。GKマテウスをはじくようにしてゴールに飛び込んだ。

「ヴェルディの守備の特徴を事前に知っていたので、練習した形が出て点が取れました。幸先の良いスタートだったと思います」

 決めた小松が「謙介さんがいいキックを上げてくれて、いいボールが来て当てるだけでした」と感謝するほどの精度だった。

 しかし、その後3失点。「いい入りをしましたし、いい形で先制できたけれど、ミスで流れを相手に持っていかれて簡単な失点が続いて、自分たちで厳しいゲームにしてしまいました」と、先制後のゲーム運びを反省した。

 加えてなかなか有効な攻撃を繰り出せなかった。渡邉晋監督が「非常に賢い選手」と全幅の信頼を置く攻守のコンダクター(指揮者)だから、中盤の底から最終ラインに落ちてボールに触って動かしながらも、フィニッシュにたどり着かない攻撃を悔やんだ。

「(自分が)後ろに入って動かすので安定はするんですけど、最終的にゴールに遠いところでプレーすることになるから、決定的な仕事、脅威を与える仕事はチームとしてできませんでした。ポジションを上げようと思ったけれど、ヴェルディも研究していい追い込み方をしてきたので、もう少し柔軟に自分たちで立ち位置を変化させようとすることは、試合を経験していく中でチームとしてできることかなと思っています」

 その点では、まだまだチームとしての経験値が足りないという段階なのだろう。

「ボールを保持しようということをチームとしてやっている中で、大胆さとか思い切りが足りないと思います。ゴール前は個人のアイディアが必要ですけれど、ボールを大事にしてワンテンポ遅れてしまっています」

 ボールを大事にするが、大事にしすぎないようにするために必要なのは、大胆さ。それを求めて戦い続ける。

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE