明治安田生命J2リーグは第7節を迎え、東京ヴェルディがレノファ山口FCに3-1で逆転勝利を収めた。東京Vは第5節のアルビレックス新潟戦で0-7という大敗を喫したが、前節の水戸ホーリーホック戦に続く連勝でV字回復を図る。チームを引っ張ったのは佐藤優平。2点を演出するパスと鬼気迫る守備で力強く戦い抜いた。

上写真=2試合連続ゴールを決めた佐藤凌我と抱擁。佐藤優平は頼もしくチームを引っ張った(写真◎J.LEAGUE)

■2021年4月10日 明治安田生命J2リーグ第7節(@味スタ/観衆2,377人)
東京V 3-1 山口
得点:(東)佐藤凌我、山下諒也、小池純輝
   (山)小松蓮

「謙虚に受け止めて成長しなければ」

「新潟の悲劇」から2週間、東京ヴェルディが力強く立ち直ろうとしている。

 J2第5節、アウェーのアルビレックス新潟戦で0-7という大敗を喫して、佐藤優平と東京Vの選手たちは自分たちと厳しく向かい合う必要に迫られた。続く水戸ホーリーホック戦に2-1で勝って迎えた、4月10日、レノファ山口FCとの第7節。

 11分に先制されながら、2分後にルーキーのFW佐藤凌我の2試合連続ゴールで追いつくと、24分には山下諒也が決めて逆転、60分には小池純輝が突き放すなど、3-1のスコア以上の内容で連勝とした。

「うまく切り替えられたなと思います。簡単ではなかったと思うけど、みんながどれだけ勝ちたいかの気持ちがこの2戦で大事でした。守備も攻撃もすべての局面で勝たないと良い結果が得られないことが、0-7の敗戦で分かりました。謙虚に受け止めて成長しなければいけないという気持ちでピッチに立っていたことが、結果につながっていると思います」

 佐藤優はしみじみと勝利を振り返る。

「(新潟戦は)うちは攻撃的なチームなのに得点がゼロだったから、どっちを優先に立て直すのか、失点を抑えるのか点を取りに行くのか、選手は最初の1週間、悩みながらやっていました。でも永井さん(監督)がはっきりと攻撃にフォーカスしてくれて、立ち戻る場所があってよかったと思います。ベースあったからこの(連勝という)結果があると思っているので、立ち返る場所があって本当によかった」

 苦しみながらも意志を曲げずに培ってきた永井秀樹監督のスタイルが、最悪の状況にある自分たちを救ったのだ。

「凌我が自分の分も走ってくれたから」

 その佐藤優は山口戦で抜群の働きだった。逆転ゴールは右サイドに小池を走らせてシュートを打たせた球足の速いパスが絶妙だったし、3点目は若狭大志からの難しい浮き球のパスをワンタッチで小池に送ってアシスト。ほかにも何度も山口の手薄なDFラインの裏のスペースにボールを運んで、チャンスを演出していった。

 それでも、そのチャンスがゴールにならなかったことが悔しい。

「ヤマ(山下)や凌我とか小池と裏に抜ける選手がいたので、パサーとしては選択肢が多かった。局面的には相手は苦しいだろうと思ったし、でも、それが点につながっていないので精度を上げたいです」

 貢献度の高さは守備でも群を抜く。相手ボールになると4-4-2の並びに整える中で、佐藤優と佐藤凌が最前線で連動しながら力強く相手に寄せていって制限をかけた。一発で奪えればベストだが、奪えなくてもキックミスを誘ったシーンが何度あったことか。

「凌我と自分でどれだけ守備に貢献できるかの運動量が求められています。凌我が自分の分も走ってくれたから、自分も凌我の分も走ろうと思いました。前からの守備がどれだけ重要かは分かっているし、今日と前節は(2人のプレスが)チームのスイッチにつながったと思います。まだ完成ではないし、完全にすべてが良いわけでもないけれど、毎試合クリアしていきたい」

 確かに「W佐藤」のパワフルな追い込みは、受ける方にとっては嫌だろう。誰よりも汗をかくこのユニットは、新しい東京Vの魅力になりそうだ。

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE