レノファ山口FCのMF高木大輔が、万感の思いでホームのピッチに立った。2019年途中に移籍して以来、1年半ぶりに復帰して迎えた開幕戦でフル出場。サポーターへの感謝を胸に、勝利を目指してピッチを駆け抜けた。

上写真=1年半ぶりに山口の選手としてプレーした高木(写真◎J.LEAGUE)

■2021年2月28日 J2リーグ第1節(@みらスタ:観衆4,862人)
山口 0-0 松本

無失点は「皆さんの後押しがあったから」

 前回所属していたときとは「ホテルの集合場所が変わっていた」と笑ったが、「スタジアムに向かうバスの中の景色や、着いたとき、声援はないですが、待ってくださるサポーターの皆さんの数を見たときに、目頭が熱くなった」という。1年半ぶりに維新みらいふスタジアムでプレーした高木は「ピッチに出たときの皆さんの手拍子を聞いたとき、本当に胸が熱くなりました」と語った。

 2018年から1年半、山口でプレーした後、シーズン途中にガンバ大阪に完全移籍。今季、完全移籍で山口に復帰し、松本山雅FCをホームに迎えた2月28日の明治安田生命J2リーグ第1節で先発出場した。左サイドハーフでフル出場したものの、結果は0-0の引き分け。「危ない場面がありながらも失点しなかったのは、サポーターの皆さんの後押しがあったからだと思う。あとは僕たちが点を取っていれば勝てた試合」と、あらためて感謝の言葉を述べた。

 鋭いクロスやゴール前への飛び出しで得点を目指した。試合終了間際の後半アディショナルタイム、右サイドでスローインを得ると、左サイドから駆け寄ってボールを手に。スタッフのタオルで拭いてから投げ入れたボールは、一度はね返されたが、セカンドボールを拾った味方のパスから鋭いセンタリングを送ると、FW岸田和人が合わせてネットが揺れた。

 劇的な決勝ゴールのアシストかと思いきや、岸田が手で押し込んでいたためにノーゴール。それでも「飛距離次第ではコーナーキックやフリーキックくらいの脅威になると思う。結果、セカンドボールから惜しいシーンまでつなげている」とコメントした高木は、「あまり練習はしていなかったですが、突き詰めていけばチームの武器になると思う」と手応えをつかんでいた。

「失点しなければ負けることはない。最後もハンドになってしまいましたが、粘り強くやってワンチャンス決めることができれば、勝利は手繰り寄せることができる」。高木はスコアレスドローを前向きに捉え、FC琉球とアウェーで対戦する第2節と、その後のホーム2連戦に向けて「アウェーでしっかり勝ち、ホームゲームに勢いを持って臨めれば」と気持ちを新たにしていた。

現地取材◎石倉利英 写真◎J.LEAGUE