2月28日の明治安田生命J2リーグ第1節で、レノファ山口FCと松本山雅FCが対戦。お互いに決定的なチャンスがあったものの、最後まで得点は生まれず、スコアレスドローに終わって勝ち点1を分け合った。

上写真=開幕節で唯一となる0-0の引き分けに終わった山口と松本の一戦(写真◎J.LEAGUE)

■2021年2月28日 J2リーグ第1節(@みらスタ:観衆4,862人)
山口 0-0 松本

・山口メンバー◎GK関憲太郎、DF澤井直人(82分:岸田和人)、楠本卓海、渡部博文、石川啓人、MF島屋八徳(HT:池上丈二)、佐藤健太郎(78分:田中陸)、佐藤謙介、高木大輔、FW草野侑己(90+2分:梅木翼)、高井和馬

・松本メンバー◎GK圍謙太朗、DF大野佑哉、橋内優也、常田克人(87分:田中パウロ淳一)、MF田中隼磨(58分:外山凌)、佐藤和弘、表原玄太(78分:下川陽太)、前貴之、安東輝(87分:小手川宏基)、FW鈴木国友(58分:横山歩夢)、阪野豊史

終盤、お互いに決定機

 J1、J2の開幕節最後となる28日15時30分キックオフの一戦。維新みらいふスタジアムは穏やかな好天に恵まれ、5000人近い両チームのファン・サポーターが詰めかける中で熱戦が繰り広げられた。

 渡邉晋監督の就任初戦でもある山口は、ピッチを幅広く使った攻めで主導権を握ろうとする。22分には左サイドを抜け出したDF石川のセンタリングでチャンスを作り、ゴール前の混戦からMF島屋が狙ったが、松本GK圍にブロックされた。

 一方、昨季途中に就任した柴田峡監督が初めて開幕から指揮を執る松本は、阪野と鈴木の2トップの精力的な走りや、MF佐藤のミドルシュートなどでゴールを脅かす。30分過ぎからは山口の最終ラインでのパスワークを追い込み、ボール奪取からゴールに迫ったが、決定機を作るには至らなかった。

 徐々に日が暮れて西日が強くなった後半、最初にチャンスを作ったのは松本。51分、FW鈴木がエリア内を突破した後のこぼれ球をMF安東が左足で狙ったが、大きく上に外れる。松本は58分にMF田中が交代で退き、ベンチ入りしていた息子の山口MF新保海鈴は出場しなかったため、Jリーグ史上初の親子対決は実現しなかった。

 終盤に入ると両チームが決定機を迎える。松本は75分、MF前のスルーパスから交代出場のFW横山が抜け出したが、山口GK関をかわしたドリブルがわずかに大きくなり、シュートは左に外れた。山口も80分にFW草野がGKと1対1になったが、シュートは松本GK圍に防がれる。
 
 後半アディショナルタイム、表示された目安の6分も経過した試合終了間際に、山口はMF高木が右からセンタリング。ゴール前に飛び込んだFW岸田が合わせてネットを揺らし、劇的な決勝ゴールかと思われた。しかし岸田は手で押し込んでおり、ハンドリングの反則でノーゴールとなって、直後に試合終了のホイッスルが鳴った。
 
 結局、スコアレスドローで終了。アウェーで勝ち点1を得た柴田監督は「ボールを握られる時間が多くなり、もう少し自分たちの時間帯を作っていかなければいけないのは大きな反省点」としつつ、「攻撃のリズムの悪さを守備に持ち込まないことは選手たちとも確認していた。最後の最後で崩れたかな、という感じはありましたが、大きな破綻なく、何とか水際でしのいだと思う」と振り返った。
 
 一方、渡邉監督は会見冒頭で「大勢のサポーターが集まってくれて、バスで(会場に)入るときもたくさんのオレンジを見せてくれて、非常に心強い空気を作ってくれました。心から感謝申し上げます」とコメント。狙いとするパスワークについて「もっとスピード感、精度を上げなければいけない」と課題を見いだしつつ、「我々の狙っていること、そこから意図的に作り出すものを、多少はお見せすることができたのではないか」と一定の手応えもつかんでいた。

現地取材◎石倉利英 写真◎J.LEAGUE