京都サンガF.C.の若きGK若原智哉が今年も生き生きしている。チョウ・キジェ監督に授けられた「守備も攻撃のうち」の言葉が心に響く。攻めるGKとして、昨季以上に絶対的な存在としてピッチに立つつもりだ。

上写真=若原智哉はチームのGKでは最年少だが、「絶対にポジションを取る」と熱い(写真提供◎京都サンガF.C.)

「楽しくプレーさせてもらっています」

 コーチングは、技術だ。

 京都サンガF.C.の若き守護神、若原智哉は、チョウ・キジェ監督のその言葉を大切にしている。コーチングが課題の一つだと認識しているからだ。

「ずっと課題だと言ってきていますが、もう甘えていられませんし、チョウさんも練習中にコーチングは技術だと言っていたので、いろいろなキーパーのコーチングを聞きながら自分のものにしていければと思っています」

 今年は浦和レッズから福島春樹が加入して、清水圭介、太田岳志と合わせてGK4人体制。また新たなポジション争いが続くが、同じチームのGKだけではなく、昨季から制限の続くスタジアムで聞こえてくる相手チームのGKの声も大切な「教材」だという。

 プロ4年目。昨季は27試合に出場してキャリアハイだった。その経験を次の1年につないでいかなければ意味がない。チョウ監督のスタイルの中では「キーパーも必要とされるポジションと言われていて、楽しくプレーさせてもらっています」と顔もほころぶ。その理由の一つが、監督のポリシー。

「守備も攻撃のうちと言われていて、相手ゴールに近いところで取った方が点につながるので、そこはみんな共通していますね」

 ゴールを守ることだけが守備なのではなく、攻撃の一部としての守備という概念が、若原の頭の中も変えていった。

「みんなアグレッシブに前から行くので、リスク管理を気にしながらやっています」

 恐れることなく前線から奪いに行くのが基準だから、相手がこちらの最終ラインの裏側にボールを素早く運んでくるだろうが、それはお見通し。

「ディフェンスラインとの声掛けだったり、相手が前線に残す枚数にもよるけれど、もう1個前のボランチとコミュニケーションを取るのが大事ですね」

「背後(のカバー)を狙っておいてと言われています。ノイアーではないけど、背後をケアできればと思っています」

 ドイツの王者、バイエルン・ミュンヘンの揺るぎなき守護神がメンターだ。どんどん前に出ていって、相手のロングボールをかっさらっていく。

 もう一人のお手本は、マンチェスター・シティ(イングランド)のエデルソン。正確無比なキックでゴールを直接的に演出していく。

「ビルドアップはエデルソンですね。最近、またアシストしていました。僕からの一発で点が取れるなら最高なので、常に狙っていきたいと思います。ボールを持ったときにみんなが動き出す姿が見えているので、僕がしっかり合わせるだけです。今年はそういうプレーも出せるのではないかと思います」

 昨年、手応えを得たシュートストップの技術に、前への飛び出しと必殺のキックを加える。2021年の若原には洋々たる前途が開けている。