チョウ・キジェ新監督の就任により、大きく変わり始めた京都サンガF.C.が注目だ。その変化の一つには新加入選手の荻原拓也の存在もある。パンチ力のある左足をさらに生かすために、「アクセル」と名付けられたタスクを背負って戦っていく。

上写真=京都に新しい味付けを加える荻原拓也。その左足に注目だ(写真提供◎京都サンガF.C.)

「少し良く言って70です」

 いよいよ開幕へカウントダウンだ。チョウ・キジェ新監督が率いる京都サンガF.C.が充実感を漂わせている。

 新加入選手の一人、荻原拓也もチームの順調な仕上がりを実感しているようだ。

「攻撃面でも守備面でも、全体がより一体感を持って、高い強度でプレーし続けることができています。攻撃的なサッカーを積み上げようという感じですね」

 2月14日にはガイナーレ鳥取と練習試合を戦って、2-1で逆転勝利。自己評価は「70点」だった。

「個人的には悪くはないですね。自分の長所、強みは多く出せました。でも、いくつかスキはあったし、まだまだ改善できると思います。プラスアルファで攻守において貢献したいと思っています」

 でも本当は、それ以下なのだという。

「もっと攻撃で違いを出せると思うし、守備もしっかりできたとは思いますけど、まだまだリスタートなどでスキなくやれたらいいと思っています。シーズンが始まれば厳しい試合もありますし、もっともっとできると思っているので、少し良く言って70です」

 まだまだこんなものではない、という自分への期待の裏返しとしての「甘めの70」だった。

 今年の京都の強みは、信頼感だと断言している。鳥取戦で改めてそれを実感した。

「前から前から行って、そこでひっくり返されたとしても全員で戻れば大丈夫、という意思統一ができています。守備のときも常に隣の選手の息遣いを感じられるほどの距離感で、必ずボールを取ってくれると信じて前に出ることができます。そういう信頼関係が全体に出せるので、スピーディーで予測ある動きができるいいサッカーができたかな」

 サイドで攻守にかかわる役割を、チョウ・キジェ監督は「アクセル」と命名した。左サイドで上下動を繰り返す荻原は、そのタスクをまっとうしようと意気込む。

「チョウさんのやりたいサッカーを、アクセルの自分が一番体現したいと思っています。自分のアクセルというポジションはチームにキーとなると思っている中で、チョウさんが求めるタスクを常にピッチの中で体現したい」

 開幕戦は2月28日、SC相模原とのアウェーゲームだ。長いシーズンの始まりにすぎないかもしれないが、荻原にとっては移籍後、初めてプレーできるかどうかの大事な一戦。

「そこまでに多くは変えられないと思いますが、毎日毎日全力でやって、より一層、ダイナミックなプレーを高めていければ。あとは攻撃の回数ですね。もっと走ってチャンスを多く生み出したい」

 アグレッシブでダイナミックに、アクセルとして走り回る「京都デビュー」が楽しみだ。