いよいよ開幕カウントダウンだ。2月27日から始まる明治安田生命J2リーグで28日のSC相模原との開幕戦に挑む京都サンガF.C.は、着々と準備を進めている。チョウ・キジェ監督の口から明かされた、長いシーズンを戦い抜く流儀とは。

上写真=サンガスタジアムで指揮を執る感動を語ったチョウ・キジェ監督。サポーターに感謝した(写真提供◎京都サンガF.C.)

90分が一瞬に思えるようなプレーを

 地球にいるけど、地球じゃない。

 京都に生まれたサッカー専用スタジアム、サンガスタジアム by KYOCERAに立って指揮を執ったチョウ・キジェ監督は、そのときの感覚を独特の表現で明かした。2月14日にガイナーレ鳥取とテストマッチを行って2-1の逆転勝利を収めている。

「京都のサンガスタジアムは、僕が生まれた街にできた待望のスタジアムです。そこに自分がいることは、自分じゃない不思議な感じがしました。サポーターの皆さんの顔も名前も分からないけれど、みんな一生懸命に応援してくれて、それが自分たちに伝わったことがうれしいです。地球にいながら地球ではないという感じ。本当にいいスタジアムだと思います」

 場が生み出す言葉にできないバイブレーションが、京都サンガF.C.の大きなパワーになる、そんな予感がある。

「僕たちは倒れることを恐れるチームではなく、倒れても立っていくチームです。いつも勝ち点3を約束するのは、相手もハードワークしてくるのでできないけれど、90分とアディショナルタイムを通じて100パーセントプレーし続けることを選手に求めたいし、やってもらいたいと思います。そして、それを後押しするスタジアムがあります。90分が一瞬に思えるようなプレーができるように働きかけるし、スタッフ全員で選手を支えて良いシーズンにしたいと思います」

 プレシーズンでは練習試合で負けなし。コンディションの条件が違ったとはいえJ1のFC東京に6-2で大勝した試合も含まれる。何もかもが順調であることなどあり得ないが、それでもスタートダッシュへの期待は高まる。

 その事実に対するチョウ監督の言葉には、長いシーズンを戦い抜くことへの流儀が垣間見える。

「どこに基準に置いてうまくいくかいかないかだと思っています。選手に話したのは、問題は予想して出るものではないということで、開幕前に出た方がいい、という考えは、僕は違うと思っているんです。
 開幕前に問題を出しておこうというのは無理な話で、開幕前でもあとでも問題は出るわけです。そのときに120パーセントで向き合っていくのが、準備としては一番大事なことです。結果としてそういうこと(練習試合負けなし)がありますけど、それでもやるべきことがないわけではないし、もし全部負けていたとしてもポジティブなこともあると思います。
 もちろん、選手やスタッフが代わって、真剣勝負をして成果が得やすい結果が出ているのは、選手が信じる道をスムーズにしています。ただ、歩いてきた道にゴミが落ちていないかの検証はしていかなければいけません」

 だからたぶん、2021年の京都に一喜一憂している暇はない。