京都サンガF.C.は沖縄キャンプでチョウ・キジェ監督の新しいコンセプトを浸透させているところ。1月30日には初の対外試合となる沖縄SV戦で7-2で大勝している。さっそく充実の内容と結果で、チョウ監督も軽快に現状をサポーターに報告した。

上写真=「フットボールの文化を発信しよう」と選手に呼びかけてきたチョウ・キジェ監督。沖縄SV戦でさっそく体現できた(写真◎KYOTO.P.S.)

「オレたちが京都からフットボール文化を発信しよう」

 沖縄キャンプ真っ最中の京都サンガF.C.は1月30日、沖縄SVと練習試合を行って30分×3本でトータル7-2の勝利を収めた。出場メンバーなど詳細は非公開だが、宮吉拓実、李忠成、山田楓喜のゴールのほか、中野克哉と上月壮一郎が2得点ずつをマークして、チョウ・キジェ監督の評価は「100点満点に近い」だった。

「始動からキャンプに入って肉体的に厳しいだけじゃなくて、頭の中も判断の早さや予測を求めてきた中で、積極的にやってくれたと思います。30分を3回という変則的な試合でしたが、いろいろな選手が得点を取って、しかもいい形から得点が生まれました。この時期にこれだけ得点が生まれる形が多かったのは、目指しているところなのでよかったです。失点もしましたけど、失点していかないと上積みができないと思うので、そこも課題といえば課題ですが、100点満点に近い試合でした。大きなケガ人も出なくて、トライしてくれたのは監督としてうれしいと思っています」

 多くの選手が理想的な形で得点を重ね、上積みの種としての失点もあり、負傷者も出ずに最後まで集中して戦えた。そこには裏づけもあって、「データの力を借りながらどれだけ走れて高強度でできているかをコントロールしていて、数字的なものにも満足しています。ほとんどの選手がそのレベルでやってくれました。この部分が上がらないと見ている人に伝わらないよね、という数字があって、そこでいい結果が出ていました」。チームは早くも生まれ変わりつつある。

 そして何より、最も大事にしている「文化」を体現できたことに胸を張るのだ。

「細かい戦術的なことはありますけれど、フットボールをしよう、オレたちが京都からフットボール文化を発信しよう、ということを選手に話してきました。レフェリーや相手をリスペクトすること、フェアにタフに戦っていこうということをキャンプの中で言ってきて、この練習試合ではイエローカードは1枚も出ず、フェアな戦いができたと思っています。サンガスタジアムで戦うことを想定しながら、まずは2月14日の練習試合でサンガが変わったな、一生懸命やっているな、と思われるアティテュード(姿勢)をもってやっていこうと話しました」

 その根本が整わなければ、J2という魔境に丸腰で向かっていくことになる。ファンを、サポーターを、京都の街を、そして日本を巻き込むための絶対条件だ。

今年は『HUNT 3』を掲げていて、目の前のことを修正して次に次にと進んでいきます。私たちは富士山やエベレストの頂上に届いたチームではありません。でも、その景色に到達したいので、いまはいまのベストを尽くして、明日は明日のベストを尽くします。気づいたらここまで登ってきたね、というチームにしたい」

 シーズン最初の対外試合でよどみなく口を突いて出てくる確信。頂上へのルートはもう見えているのかもしれない。

「発見はいっぱいあったので、1時間でも話せますけど、しゃべりすぎって言われちゃいますね。いままでとは違うポジションでやった選手もいますし、まだケガでプレーできていない選手もいる中ではいろいろ試すことができたと思います。個人の力だけではなく複数の選手が関わったシュートシーンもたくさんありました。いろいろな意味で楽しみにしてもらえるかなと思っています」

 そう話してニヤリと微笑んだ。2021年の京都は、何かが違う。