北海道コンサドーレ札幌から期限付き移籍で京都サンガF.C.に加入したのが白井康介。自身も「札幌でも試合に絡めたと思う」と言いながら、J2クラブに移ったのはなぜなのか。そこには燃えるようなチャレンジ精神があった。

上写真=白井康介は1月30日の沖縄SVとの練習試合で「みんな同じ方向を向いている」と実感(写真◎KYOTO.P.S.)

「怖がらずにやれ」の思い出

「当時は僕自身がチョウさんの練習についていけなくて…」

 北海道コンサドーレ札幌から期限付き移籍で京都サンガF.C.に加わった白井康介は、過去に湘南ベルマーレに在籍していて、チョウ・キジェ監督の下でプレーしている。ちょうど20歳から21歳の年、2014年から1年半だった。14年は湘南がJ2で圧倒的な強さを見せていたころ。「すごく強くて自分にはチャンスがなかった」と振り返る。

 だが、こんなことも思い出す。

「僕はその当時、メンタル的にすごく弱くて、プレー中にミスするとビビっちゃったりして、自分で気持ちを落としていくことがありました。そのときにチョウさんに『怖がらずにやれ』『チャレンジしろ』と言われたのは響いていますね」

「チョウさんは悪いプレーをしたらちゃんと叱ってくれて、しっかり見ていてくれる人です。僕は練習についていけていないという思いがありましたけど、自分なりに考えてフィードバックしていくことで良くなっていきました。愛媛にレンタルしたことで、その続けてきたことが出せたと思っています」

 15年の途中で愛媛FCに期限付き移籍、翌シーズンには完全移籍を決断し、主力としてプレーして、18年にはJ1の北海道コンサドーレ札幌へ、というキャリアアップに結びついた。

 それが今回、カテゴリーを下げてでも京都に移ってきたのはどうしてだろう。

「僕の中では一番成長できる、挑戦できる道でした。札幌にいても試合に絡めていたとは思いますが、それ以上に成長するためにここに来ました」

「サッカー選手として僕はまだ若いと思っているし、スタメンで出たい気持ちでいまもやっています」

 その燃えるような思いを、対象的に静かな口調で明かしていく。目標は、スペシャリストになること。

「ウイングバックのポジションがあるチームでしかやってきていないんです。ウイングバックの白井康介は知られていると思いますが、サイドバックもできる白井康介、になりたい。サイドならどこでもできると思うので、サイドのスペシャリストになれると思ってチャレンジしていきます」

 運動量とスプリント能力を兼ね備えるだけに、4バックのサイドバックにも、3バックのウイングバックにも、そしてサイドハーフやウイングにも適性があるだろう。チョウ・キジェ監督がどの役割で起用するのかは興味深いが、白井はそのすべてをこなすつもりだ。

「人見知りなので、1人の時間を大事にしたい」とはにかむが、今回は新型ウイルス感染拡大防止の観点からキャンプ中のホテルは一人部屋。じっくりと自分と向き合って、サイドを駆け抜けるイメージを積み上げていく。