明治安田生命J2リーグは優勝、昇格争いがヒートアップしている。残り3試合でその両方を狙っている現在2位のアビスパ福岡の、次の対戦相手は京都サンガFC。これを歓迎するのが主将の前寛之だ。その理由とは?

上写真=前寛之は移籍1年目で優勝と昇格に手が届くところにやって来た(写真◎J.LEAGUE)

「相手の裏を突くことを徹底する」

 京都サンガFC、愛媛FC、そして徳島ヴォルティス。J1昇格へ、そしてJ2優勝がかかる3連戦を中2日と中3日で一気にこなす「最後にして最大の連戦」が待ち受けている。

 水戸ホーリーホックから長谷部茂利監督とともに移籍して、いきなりキャプテンの大役を任された前寛之は、いわば昇格請負人としての期待も担っている。だからこそ、この3試合を落とすつもりはない。

「優勝が届くところにあるし、(首位の徳島との)直接対決もあるので、3連勝を目指します。下(3位のV・ファーレン長崎)もいるので落とせないし、一つ一つ勝ち点を取っていくのが大事で、長崎さん、徳島さんの結果は関係なく、勝ち点を取りに行く姿勢を出したいと思います」

 3連戦の最初の相手、京都に対しては「好調で攻撃に重きを置いているチームだと思います。非常に強いチームだという認識を持っています。前回対戦もやられていますしね」と警戒を怠らない。一方で、この対戦カードがチームをいい方向に向かわせるのではないかと、前は感じている。

「岡山と金沢という堅いチームから、攻撃的なチームとの対戦になるので、うちの良さも出るのではないかと思います。守備から良い攻撃につなげられれば。ホームゲームですし、たくさんのお客さんが入ると思うので、立ち上がりからどんどん前に行く姿勢を出して、相手の裏を突くことを徹底したいと思います」

 12月2日のファジアーノ岡山戦は1-1、6日のツエーゲン金沢戦は2-2でともにドロー。どちらも激しい守備を信条とするチームに、負けはしなかったが勝ち点2ずつを取りそこねたとも言える。京都がこれまでのように攻撃に意識を強めてくるのであれば、堅守速攻を勝ちパターンの一つにしている福岡とのかみ合わせはいい、というわけだ。

 昇格、優勝が見えてきたことによる堅さなのか、ここ7試合は黒星はないものの引き分けが4つもある。

「負けないことはいいことだと思いますけど、状況として最終局面に入っているので勝ちが欲しいですし、内容としてもまだまだスパートをかけられると思います。物足りない状況という認識を僕は持っています」

 あえて厳しく分析することで引き締めるのは、キャプテンとしての思いからでもあるだろう。

「難しい時間が長くなることが前半は特に多いですけど、失点するまでと、してからは状況が大きく変わるので、点が動く前にうちが積極的な姿勢を出さないといけません。0-0であればいけるという展開を持ちながらも、0-0のときの試合の中での内容をもう少し改善しないといけないのかなと思っています」

 0-0をキープすればOKなのか、それともパワーを出してゴールに迫るのか。そのさじ加減が難しいが、それをコントロールするのもボランチである前の役目になる。逆に言えば、前が動く瞬間が勝負どころということになる。

「これまで積み上げた勝ち点でこの順位にいるので、何かを大きく変えることなく続けようと話し合いをしたので、いままでやってきたことをさらにこの3試合でうまく出せればと思います」

 12月13日から始まる勝負の1週間へ。平常心で挑むだけだ。