12月2日、明治安田生命J2リーグは第38節が開催され、水戸ホーリーホックはジュビロ磐田とケーズデンキスタジアム水戸で対戦。前半にアレフ・ピットブルのPKで先制し、その後同点に追いつかれたが、左サイドを駆け上がった外山凌が殊勲の決勝点を挙げた。

水戸の外山凌が決勝ゴールを挙げる(写真◎MITO HOLLYHOCK)

■2020年12月2日 J2リーグ第38節(@Ksスタ:観衆1,559人)
水戸 2-1 磐田
得点:(水)アレフ・ピットブル、外山凌
   (磐)大森晃太郎

手にした自信と手応え。「やろうとしていたサッカーで勝てた」

 ケーズデンキスタジアム水戸には、冷たい雨が降り続けていた。気温7.7度。悪天候に見舞われた平日のナイトゲームとなったが、1500人を超える観客がスタンドに詰めかけた。

「僕は朝起きてめちゃくちゃ寒いなと思ったし、雨も降ってきた。その中で応援するのって、体力が要ることです。気持ちがないとできないことだと思うので、サポーターがそういう(強い)思いで(スタジアムに)来てくれたことに感謝しています」

 寒空の下で水戸の選手たちの戦いぶりを見守ったファン・サポーターへの思いを言葉にするのは、左ウイングバックで先発フル出場した外山凌だ。「こういう試合で僕らが勝てないと、水戸のお客さんは増えていかない」と、ただひたすらに勝利を目指した。

 試合は前半18分にアレフ・ピットブルのPKで先制したものの、その後セットプレーから同点に追いつかれた。時計の針は進み、迎えた後半35分。相手陣内で右サイドの前嶋洋太から中央の深堀隼平にボールが渡ると、左サイドを背番号23が猛然と駆け上がった。そして深堀から前方へパスが送られると、左足を振り抜いた。

「なんかもう、相手に当たると思って、シュートもクロスも考えずに、とりあえず(左足を)振ったら入っちゃったっす」

 外山が左足で放ったボールはスライディングで食い止めようとした相手DFに当たり、ゴールへと吸い込まれた。「結果的にはラッキーな形で入った」と言うが、「何度も何度も相手のウイングバックの小川(大貴)選手に走り負けないことを意識していたので、それが最後にああいうゴールにつながったんじゃないかと思います」と自身の決勝点に胸を張る。そして、タイムアップの笛が鳴り、第35節栃木戦以来となる3試合ぶりの勝利を挙げた。

「自分たちが本当にやろうとしていたサッカーで勝てたことで、すごく自信になりました。監督が提示してくれた戦術をみんなで体現できて勝てたので、この勝ちはかなり大きいと思います」

 秋葉忠宏監督も「J1で優勝経験があり、Jリーグを引っ張ってきた」と敬意を表すJ屈指の名門クラブから手にした大きな1勝。確かな手応えと自信をつかんだ外山は、4日後に控える首位徳島との一戦を見据える。

「絶対に連勝したい。僕らは、自分らよりクラブ規模の大きい相手だったり、順位が上(の相手)の方が燃えます。そういう相手を食ってやろうという思いが強いチームなので。前から行って、絶対に勝ちたいです」

 磐田戦での勝利を呼び込んだ殊勲の男は、すでに首位チーム撃破へ闘志を燃やしている。

現地取材◎サッカーマガジン編集部 写真◎MITO HOLLYHOCK