37試合、3,120分の出場はチーム最長。明治安田生命J2リーグで昇格に迫るアビスパ福岡にあって、守備の要に成長した上島拓巳の存在感は抜群だ。理路整然と課題と収穫を語る姿は、まさしくディフェンスリーダーにふさわしい。

「ウエイトトレーニングを欠かさずやっているんです」

「イエローが少なくてケガもなく、全試合に出場できているのは、自分自身で評価できるところだと思いますし、プレー以外のところでも、タフさやシーズンを通してケガをしないという、サッカー選手として大切なものを今シーズンを通して証明できたところは、自分自身の価値を高めるいい点だと思います」

 今季、柏レイソルからの期限付き移籍で加わっているが、昨季は柏でわずか10試合のプレーだった。福岡に来てからは長谷部茂利監督からの信頼を得て、37試合出場、3,120分のプレータイムはいずれもチーム最長。最終ラインのたくましい壁になった。

「毎日、ストレッチをしたり食事や睡眠に気を使うのはもちろんですけど、ウエイトトレーニングを欠かさずやっているんです。ひざや筋肉系のケガをするときは筋肉に何かしら問題があったり強度が足りなかったりというところが少なからずあって、もちろん防げないケガはありますけど、その可能性を少しでも減らしていくという点では当たり負けしない体やケガをしそうなところで踏ん張れる強い体作りを意識して、ウエイトトレーニングをしています」

 昨季は柏で昇格を達成したチームの一員だった。その経験は、福岡が昇格圏内の2位を堅持して残り5試合といういまこそ生きるはずだ。

「去年のレイソルと今年のアビスパではまったく状況が違っていて、去年のレイソルは抜けていたし爆発力を持っていて、ここまで緊迫した戦いはしていなかったので、簡単には比較できません。ただ、ネルシーニョ監督が『手のひらの中にあるチャンスをつかむかつかまないかは自分たち次第だ』と常に言っていました。自分たちもいま手のひらの中にチャンスはあって、それをつかむかつかまないかは他のチームの状況ではなくて自分たちです。他会場の結果は気になりがちですが、まずは自分たちにフォーカスするのが大事で、それを学んだと思います」

 つかみ取るという強い意志を存分に生かすためのファイナルファイブ。昇格だけではなく優勝を目指して、福岡の壁が立ちはだかる。