明治安田生命J2リーグ第37節で2位のアビスパ福岡に挑んだ大宮アルディージャは、惜しくも0-1で敗れた。福岡の良さを消しながら攻勢に出ていた大宮にあって、山田将之の強烈なシュートはその流れをつかむもの。次は決めたいと願うのだ。

上写真=10月に緊急加入して以降、全試合先発。山田将之が存在感を示す(写真◎J.LEAGUE)

■2020年11月29日 J2リーグ第37節(@ベススタ:観衆5,178人)
福岡 1-0 大宮
得点者:(福)フアンマ・デルガド

「あそこまで行けたのはいいことだけど」

 大宮アルディージャがアビスパ福岡に挑んだゲームで、大宮にとっての最大のハイライトは54分のシーンではないだろうか。

 GK笠原昂史からのロングキックに右サイドで競ってヘッドで流し、タッチライン際の嶋田慎太郎に渡るのを見てそのまま相手DFの裏のスペースへダッシュ、そこに嶋田から優しいパスが届いて前を向くと、目の前にゴール。切り返して左足に持ち替えてから強烈なシュートを見舞った。

 しかし、GKセランテスにストップされてしまった。

「あそこまで行けたのは個人的にはいいことだし、プラスなことではありますけど、決定機で決めないと上位のチームに勝てないのかなと感じました。あそこまで行けたのはいいことだけど、次は決められるようにしっかり整理していきたいと思います」

 今季はFC東京からツエーゲン金沢に期限付き移籍していたのだが、負傷者が続出した大宮から声がかかって移ったのが10月20日。すると、J2第29節のV・ファーレン長崎戦から9試合連続で先発出場している。この日の相手の福岡は2019年7月から期限付き移籍で所属していた古巣。それだけに燃えた。

「このスタジアムのピッチに入ったときには思い入れというか、いろいろな感情がありましたけど、いまは大宮の選手であって、首位を走る相手に勝って帰りたいという気持ちでした。だから、負けてしまったのはすごく残念です」

 本職のセンターバックではなく、この日も右のウイングバックが与えられたポジションだが、福岡の強みである石津大介の攻め上がりに厳しく対応した。攻撃への関与の仕方もセンターバックとウイングバックでは大きく異なるが、54分の攻め上がりのタイミングやコース取り、相手をしっかり見て切り返してからのフィニッシュと、とても慣れていない選手とは思えないアクションだった。

「自分の中では一つ一つ整理してやっていっているだけなので、今回の試合でいえばシュートまでは打てましたけど、その後が伴っていないのはまた反省材料です。次は点を決めるということが積み重ねになってきますが、それが1試合1試合成長している要因なのかなとは思います」

 大宮の苦しい台所事情を支える頼もしい存在になっているが、残りは5試合。「シュートまで」の段階をクリアしたいま、ゴールが決まればまた一つ大きな成長の階段を登ることになる。

写真◎J.LEAGUE