11月21日、明治安田生命J2リーグは第35節が開催され、水戸ホーリーホックは栃木SCと栃木県グリーンスタジアムで対戦。前半早々に奥田晃也が先制点を挙げるも、その後PKで同点とされる。だが、後半に山口一真が決勝ゴールを奪い、北関東ダービーを制した。
上写真=決勝ゴールを挙げた山口一真(写真◎J.LEAGUE)
■2020年11月21日 J2リーグ第35節(@栃木グ:観衆2,861人)
栃木 1-3 水戸
得点:(栃)明本考浩
(水)奥田晃也、山口一真、前嶋洋太
「自分のゴールで北関東ダービーに勝ちたかった」
試合後のヒーローインタビューの場に現れた山口一真の目は真っ赤だった。
「個人的な事情なんですけれど、昨日おじいちゃんが亡くなってしまって。今日、試合前からずっと点を取りたいと思っていました」
声をつまらせながら、栃木との「北関東ダービー」を振り返る。前半からゴールを狙い、90分を通じて両チーム最多となる5本のシュートを放った。シュート数が多いことはこれまでの試合とも同様だが、その1本1本にはいつも以上の思いがこもっていたのかもしれない。そのうちの1本が、相手GKの手を弾いて、ゴールに吸い込まれた。
「今日はああいう形で(ゴールが)入ったというのは、やっぱりなんか持っているのかなと。おじいちゃんが僕に決めさせてくれたと思うので、良かったです」
決勝ゴールを振り返る山口の目は、涙でにじんでいた。
亡き祖父への思いだけでなく、栃木にリベンジする気持ちも強く持って臨んだ一戦。「(前回対戦では)栃木に負けていたので、今日は絶対に勝ちたかった。ここ2試合で点を取れていなかったので、なんとしても自分のゴールで北関東ダービーに勝ちたかった」と、闘志を燃やした。
「勝ってよかったです。勝てない時期も続いた中で、サポーターが毎回応援してくれてとてもうれしいし、選手として期待に応えたい気持ちが強かった。今日はもう、水戸のすべてのサポーターに感謝したいです」
水戸にダービー勝利をもたらした殊勲の背番号10は、これからもさまざまな思いを胸に戦い続ける。
現地取材◎サッカーマガジン編集部 写真◎J.LEAGUE