上写真=先制点を決めたアラン・ピニェイロと安田理大らが喜び合う。千葉は効率よく2点を奪った(写真◎J.LEAGUE)
■2020年11月15日 J2リーグ第34節(@デンカS:観衆9,355人)
新潟 0-2 千葉
得点者:(千)アラン・ピニェイロ、クレーベ
「相手が守備を固めてこちらのミスを狙って…」
新潟1、千葉1。前半のシュートの数だ。あまりにも少ない。フィニッシュに至る前にそれぞれの守備が機能していたと見るか、あるいは攻撃のテンポが上がらなかったと見るか。
序盤は千葉が新潟のボール回しを制限しながら前向きな守備を効かせていたが、10分前後で新潟がその勢いに慣れていってペースを握り始めた。すると千葉は落ち着いて最終ラインと中盤のラインを整えた上で、新潟が差し込んでくる縦パスに大きな警戒を払って止めていった。新潟も焦らずにボールを循環させていき、縦パスが狙われても即時奪回の意識をより強めていって奪い返し、さらに回していく。
お互いの狙いがどちらにもはまったままでにらみ合いの様相になったことが、前半のそれぞれのシュートが少なかった理由だろう。
後半開始から新潟が右MF本間至恩と左MF堀米悠斗のポジションを入れ替えると、動き始めた。47分には本間から、51分には堀米からチャンスが生まれて、新潟の攻撃が活性化されていく。
しかし本当に試合を動かしたのは千葉の方だった。新潟の舞行龍ジェームズのファウルで得た左からのFK。堀米勇輝がゴール前に送り、こぼれ球から新井一耀が戻したボールをアラン・ピニェイロが蹴り込んで、56分に先制した。
新潟はこれを受けてFWに矢村健を投入、鄭大世と最前線に並べて4-4-2に切り替えてゴールを目指した。77分にはさらに大本祐槻と荻原拓也のサイドアタッカーを同時投入、3バックにして外から攻める姿勢を明確にした。
その攻撃的な姿勢を逆手に取ったのが、千葉だった。81分にカウンターで一気に右サイドから米倉恒貴が前線にパスを流し込み、受けたクレーベが飛び出してくるGK藤田和樹と入れ替わるように巧みに抜けて、無人のゴールに流し込んで追加点。2点のリードを奪ったことで82分には一気に3人を交代させてフレッシュさを加えると、さらにその4分後にはチャン・ミンギュを投入して5バックで壁を作る。このまま最後まで集中守備を披露した千葉が逃げ切った。
連勝とした尹晶煥監督は、守備に大きな手応え。「ディフェンスから一つずつやっていこうと話していて、最初は難しい部分がありましたが、前半を失点ゼロで終えてくれて、後半はもっと高い集中力を見せてくれました。セットプレーから先制してカウンターから追加点を決めて、選手が勝とうという意欲を見せてくれました。ミスもありましたが、チーム全体でカバーしようとしたことがいい結果につながったと思います」。アウェーの定石通りの勝利を収めた。
新潟はJ1昇格を考えると、この敗戦はあまりにも厳しい。残り8試合で、昇格圏内の2位とは勝ち点15差。アルベルト監督もさすがに厳しい表情だった。「相手が守備を固めてこちらのミスを狙って、カウンターかセットプレーのみを狙っていたため、なかなか切り開くことできずに難しい試合展開になりました。先制点を取ったチームが試合に勝つという展開で、その先制点も幸運に恵まれた中からのゴールでした。あの失点がその後の試合展開に影響し、彼らの追加点もその前のプレーでファウルになってもよかったし、オフサイドがあった可能性もありました。0-2のあとからはさらに試合展開は難しくなりました」と嘆くばかりだった。
写真◎J.LEAGUE