明治安田生命J2リーグはこの週末に第32節を迎える。ジェフユナイテッド千葉はモンテディオ山形をホームに迎える一戦。前節で久々の試合出場を果たしたベテランの下平匠は、出場機会のない中でも変わらぬ努力を続けてきた。

上写真=下平匠は左サイドバックとして愛媛戦後半から久々の出場を果たした(写真◎ジェフユナイテッド千葉)

「気持ちがなくなったら選手として終わり」

 下平匠の14試合ぶりの出場は、前節の愛媛FC戦の後半からだった。左サイドバックに入り、前半にそのポジションだった安田理大が右サイドバックに回った。この2人、ガンバ大阪のアカデミーからともに切磋琢磨して、千葉で「再会」した間柄だ。

 ただ、左サイドバックを争うライバルでもある。だからこの日は、安田が右に回ったことで初めて同じピッチに立つことになった。

「(G大阪とは)違うチームでまた一緒にできるのはうれしいですし、1歳上のミチくんが頑張ってるので負けられないかなと」

「ガンバのときも何回か一緒に左右(のサイドバック)で出たことがあったので、懐かしいとは言わないですけど、うれしい気持ちにはなりましたね」

 愛媛に6分に先制されて追いかける展開。52分に生まれた同点弾は、その右に回っていた安田の左足から放たれたインスイングのクロスを山下敬大がヘッドでゴール右に押し込んだものだった。下平投入の交代策が、間接的にではあるが功を奏したことになる。

「いいクロスが入って、敬大もいい入り方をしているから点が取れていると思います。ファーで待ってというよりは前に入ってくるのが好きなのかなという印象はあります。そういう最後のクロスの精度が大事になってくると思います」

 貴重な同点弾を決めたエースのプレースタイルを自分でも生かすべく、そう分析している。

 出場機会になかなか恵まれない中で、自身のコンディションを維持することは、過密日程で試合に出続ける選手とはまた違った難しさがあるはずだ。だが、下平は動じない。

「出られないことで悔しい気持ちはありますし、そういう気持ちがなくなったら選手として終わりだと思います。でも、出ているときも出ていないときもやることは変わらないんです。監督が求めていること、プラス、自分が出たらどういうことができるかが大事なので、できることをしっかりやることと、求められていることをなるべく忠実にやることだけですね。出ているからどうとか出ていないからどうというのは関係ないかなと思っています」

 試合に出るか出ないで心身ともに調子を上下させているようでは、いざというときに自分の力を発揮できない。さすがプロ14年目の真理である。

 でも、だからこそ、出場機会を増やしたい。ここ6試合でベンチ入りして、ようやく6試合目で45分の出場を勝ち取った。尹晶煥監督の指揮の下で貢献できるサイドバックとして、残り11試合で出番を増やせるか。

「尹さんの求めるサイドバックはまずは守備なので、しっかりできるようにチャレンジしています。それやりながら、攻撃参加の回数も増やしていければ」

「ボール動かす、前へのパスが特徴だと思っています。この前の試合はある程度できたので、そういうシーンをもっと増やしてもう1点取れればよかったと思います。チャンスを増やして、可能性を少しでも増やせればよかった」

 次節はモンテディオ山形戦。「前期にやったときとはフォーメーションが違っていたり選手が代わっているので、しっかり映像を見て相手がどういうことやってくるのか、どういう攻撃が狙いなのかを確認して、逆に相手が嫌がるところ出していければと思っています」と準備を整える。