明治安田生命J2リーグ第31節でモンテディオ山形はアルビレックス新潟に1-2と敗れたのだが、石丸清隆監督の評価は極めて厳しいものだった。その中で、63分にピッチに登場した末吉塁は、消極的な仲間を引っ張るようにぐいぐいと突破していった。

上写真=63分に登場して戦況を変えたのが末吉塁。積極的な仕掛けが光った(写真◎J.LEAGUE)

■2020年11月4日 J2リーグ第31節(@NDスタ:観衆2,579人)
山形 1-2 新潟
得点者:(山)ヴィニシウス・アラウージョ
    (新)矢村健、ロメロ・フランク

「逆転できるように勢いづけたかった」

 末吉塁はこの日最初の交代メンバーとして、63分にピッチに送り出された。0-2の状況での登場だから、ゴールを目指すのはもちろん…なのだが、石丸清隆監督の言葉を聞くと、起用の理由はそれだけではないかもしれない。

「消極的なプレーを攻守ともにしてしまって、プレーをしてないという部分があると見ています。修正するという形までもいかないプレーが前半は多かったと思います」

「プレーを止める作業をしてしまった印象で、やりたいことをやらなかったという印象です。後半、なんとかやらなければいけなかったけれど、それでも(チャンスの)数もクオリティーも低いものを提供してしまいました」

「気持ちの部分で逃げていくのは簡単で、もう少し(やるべきことを)整理することもそうですけど、プレッシャーを掛けられると怖がってしまうな、と。だいぶ前の山形に戻ってしまいました」

「相手のボランチもうちのボランチに食いついてきたので、こちらのサイドハーフやトップ下のところが空いているなという印象でした。でも、準備の段階で怖がってというか遅くなっている印象で、相手を見てプレーできていないんです。そこから(空いた選手に)つけていくのでプレッシャーがかかってしまって、また準備が遅くなる。自分から欲しくてポジションを取っているのではなくて、ボールが来ちゃってるという感じになって後手を踏んでいるんです」

 口調は物静かだが、内容は極めて厳しい。しかも、「残念ですけど、やれることを整理するか選手を代えるか。時間がないので、前向きなメンタルを持っている選手を使う形になると思います」と話している。今後の試合についてのコメントではあるが、その中での交代ということは、つまり、積極的に戦える選手の一人として末吉がピッチに送り込まれたのだろう。

 さっそく「得意技」を連続で披露する。65分、最終ラインの熊本雄太からロングボールで中央へ抜け出すと、細かいタッチのドリブルからカットインしてシュート、これはDFにブロックされるのだが、相手の守備ラインの裏を突く積極性がチャンスに結びついた。続けて66分には左で受けてポイントを作り、縦に送って前川大河を裏に走らせた。そこからのセンタリングがCKになり、中央の小競り合いで熊本が倒されてPKを獲得、というシーンにつながっていった。まさに末吉が左サイドでリズムよく、かつダイナミックに攻撃を演出した効果が交代直後に表れたのだ。

「前半から見ていて、もっと前向きなプレーをしなければと思っていたし、ハーフタイムには監督ももっと積極的にいこうと言っていました。だから、そういうプレーを心がけて、クロスまではいったけれど、次のプレーの精度が悪かったと思います」

 つまり、チームに欠けていたとされる積極性の部分では及第点、しかしその先の結果の面では不合格、が自己評価ということになる。

「ゴールにちゃんと絡んだり、アシストしたりすることができませんでした。途中から出てもそこにこだわって勝てるように、逆転できるように勢いづけたかった」

 プロ2年目の今季、序盤は先発起用が続いたが、8月16日のV・ファーレン長崎戦を最後にスタメンから遠ざかっている。現在はベンチスタートで結果を残さなければならない身。しかしこの日、どんどん仕掛けて新潟を押し込んだプレーは、まさに怖がることを知らない前向きな意識の表れとして多くの人の心に強く刻まれたはずだ。

写真◎J.LEAGUE