ジュビロ磐田は、敵地に乗り込んだ21日の東京ヴェルディ戦をスコアレスドローで終えて勝ち点1を手にした。相手に攻め込まれ、ピンチが何度も訪れたが、そのたびに好守でチームを救ったのがGK八田直樹だった。

上写真=4試合連続無失点に貢献した磐田のGK八田直樹(写真◎Getty Images)

■2020年10月21日 J2リーグ第28節(観衆3,160人/@味の素)
東京V 0-0 磐田

望みがある限りあきらめない

 この人がいなければ、敵地で勝ち点1を手にすることはなかったかもしれない。東京V戦で先発した八田は文字通りの守護神としてゴールマウスに君臨した。相手の決定的なシュートを高い集中力と鋭い反応でストップし続けたのだ。

 枠内ぎりぎりに飛んできた6分の藤田譲瑠チマの無回転シュートはしっかり枠外へと弾き出した。27分にボックス内で至近距離から打たれた小池純輝の右足シュートはタイミングがズラされることになったが、冷静に対応。左手一本でストップした。43分の大久保嘉人のミドルシュートは複雑な軌道を読み切ってパンチングで逃れている。

 60分には細かくパスをつながれ、ペナルティーエリア左隅付近から山下諒也に右足でファーサイドを狙われた。しかし、ここでも鋭い反応を見せて横っ飛びしながら両手を伸ばし、ボールを枠の外へと弾いている。

「人を捕まえてみんながボールに行ってくれているので、チーム全体としてうまく次の予測ができている。あとは最後のところでみんなが体を張ってくれているので、僕自身もすごく守りやすいです」

 チームとしてうまく守れていることが、自身の好プレーにつながっていると八田は強調した。確かに、守備陣のみならず前線も含めて磐田の選手たちはしっかり相手を監視し続けた。だが、時に守備網の外から、あるいは網目をすり抜けて放たれたシュートに対しても、八田は判断のミスなくプレーし、ピンチを防いでみせた。

 勝利こそつかめなかったが、そのプレーで何度もチームを救った。それでも守護神は満足していない。引き分けたことで失った勝ち点2にも目を向けた。

「毎試合、勝ち点3を取ることしか考えていません。僕らは勝たないと上には行けない。勝利だけを考えて、最終的に追いつけたら良いと思っています。望みがある限りは昇格もあきらめない。上との差よりも、まずは自分たちが勝たないといけないし、勝ち点3を取れるように準備したい。今日も勝ち点3が欲しかったですが、反省するところは反省して、次の試合で勝ち点3が取れるようにまた準備したいと思います」

 一時はスタメンを外れていた。その日々の中で自分を見つめ直し、磨き、そして今、その力をチームのために発揮している。

「試合に出られていない時期もあって、試合に出たときも不甲斐なさを感じていました。自分がここで勝ち点を呼び込むためには自分もレベルアップしないといけないと思って、ブレずにしっかりやれてきた」

 これで4戦連続無失点。この日の東京Vだけではなく、最後尾に構える八田の存在がチームに安心感を与えているのは間違いないところだろう。