明治安田生命J2リーグは4度目の5連戦の3戦目を迎えようとしている。ジェフユナイテッド千葉は第25節で5失点して、第26節では守備の改善を急務とした結果、失点ゼロに抑えた。改めて課題となっていた攻撃の改善に乗り出す。

上写真=守備の改善が見られただけに、矢田の左足で攻撃を組み立てたい(写真◎ジェフユナイテッド千葉)

「良い循環ができてくると思います」

 衝撃の5失点の次の試合だから、守備に強く意識を置くのは当然だ。ジェフユナイテッド千葉は10月10日のJ2第25節で水戸ホーリーホックにホームで1-5という敗戦。14日の大宮アルディージャ戦ではとにかく守備をなんとかするのが大事なことだった。

 結果は0-0。尹晶煥監督も「前回の試合で大量失点をして、ディフェンスの部分で改善しなければいけないと思っていました。ディフェンスの面では90分間集中してできたと思っています」と振り返ったように、大宮の攻撃を完封して失点ゼロに抑えたことは大きな評価に値するだろう。矢田旭もピッチの上で同じ感覚を抱いていた。

「相手の決定機も減りましたし、全体的にいい形で奪えて攻撃に転じるところまではいけました。前節の5失点で反省を残したので、前線から最終ラインまで連動して守備ができたことは評価できると思います」

 今季は尹晶煥監督を迎えて守備からチームを組み立ててきた。ディフェンスこそ生命線。5失点で失いかけた自信をなんとか取り戻そうと必死だった。だから「守備で良かったので、これはベースとして続けていかなければいけないですね。守備で失点ゼロで抑えれば勝ち点は入ってきますから」ともう一度、次のステップを踏む準備ができた。

 それが、攻撃のところ。複数得点は26試合のうちわずかに8試合しかなく、直近では9月19日の第20節ファジアーノ岡山戦までさかのぼらなければならない。それ以降の6試合は1得点が3試合、無得点が3試合と得点力不足が悩ましい。

 右サイドハーフに入る矢田としても、自慢の左足を駆使した攻撃を仕掛けたい。

「この前の試合はいい形で奪えていたけれど、攻撃ですぐパスミスをしてしまっていました。それがすごく多くて、10回あったら7、8回はミスったんじゃないかな。その部分だけでもマイボールにして攻撃につなげられれば、攻撃の回数は増えると思います」

 奪うところにパワーを投じたせいか、その次のアクションでていねいさが欠けてミスがかさんだ、ということだった。

「奪った瞬間に慌てているのもありますし、あとはその選手だけの問題ではなくて周りの立ち位置や動き出しの問題もあってミスが起きていると思うんです。距離感も良くないし、いいときは取ったあとに出しやすいところに選手がいるけれど、簡単に出せる場所にいなかったり、難しいコースにサポートに入ってしまって、そういうちょっとしたところが攻撃に転じられない理由だったと思います」

 もちろん、工夫も組み込んでいる。FWで最も長い時間、ピッチに立っているエース格の山下敬大の体の強さに、船山貴之のテクニックを掛け合わせる2トップを組んだのだ。船山はサイドハーフで出場することが多いテクニシャンだが、ボールを失わない技術を最もゴールに近い場所で生かす狙い。矢田はその効果をこう感じている。

「裏へのパスを増やして全体的に押し込んでいかないといけないと思います。タカさん(船山)が裏に入ればそこにタイミング良く出して起点を作れて、全体的に押し込めて攻撃できると思います」

「タカさんがいればポストプレーでいつもと違うリズムができます。ハイボールだけではなくて足元に良いボール出していかないと特徴が出ないですから、みんながみんなの特徴を生かすために工夫しないと攻撃では良さは出ないと思います」

 もう一つは、これも守備とも連動してくるが、セカンドボールの争いに勝つこと。

「セカンドボールを拾えばリズムも出るし、相手陣内に押し込む時間も増えてきます。押し込めれば距離感が良くなってコンビネーションも増えてくるし、良い循環ができてくると思います」

 守備の安定のその先へ。今季ずっと課題として取り組んでいる攻撃のレベルアップが、急ぎ求められている。