10月4日、明治安田生命J2リーグは第24節が開催され、ファジアーノ岡山は水戸ホーリーホックと敵地ケーズデンキスタジアム水戸で対戦。序盤から攻め込まれるシーンを作られたが、後半は田中裕介を中心に盛り返してスコアレスドロー。アウェーで勝ち点1を獲得した。

上写真=第14節以来の先発出場を果たした田中裕介(写真◎J.LEAGUE)

■2020年10月4日 J2リーグ第24節(@Ksスタ:観衆2,385人)
水戸 0-0 岡山

「良い守備をして、前の選手に気持ちよくゴールを狙ってもらう」

 岡山の最終ラインに君臨する背番号8が攻守に存在感を放った。8月22日に行なわれた第14節群馬戦以来となるスターティングメンバーに名を連ねた田中裕介は、「気持ちと体の準備期間をもらっていたので、自分の中でも今日は良い形でやれた」と、敵地での勝ち点1獲得に貢献した。

「前半の立ち上がりは水戸の圧力、ホームチームの勢いが勝っていた」と田中が振り返るように、水戸に攻め込まれる場面が数多くあった。それでも、「最後のところで相手にプレッシャーをかけ続けることとか、うちの良さでもあるハードワーク」で粘り強くしのぎ、相手にゴールを許さない。すると、「うちもそれに慣れてきて、後半は相手コートでの時間も増えた」(田中)。後半に戦況を一変させ、水戸ゴールに迫った。

 この日最大のチャンスは、後半15分にセットプレーから生まれた。「永地(白井)が良いボールをくれました」と、白井永地のコーナーキックから田中がニアサイドでヘディングシュートを放った。ドンピシャリのタイミングだったが、シュートは惜しくもゴールポストに弾かれた。それでも、田中は「最近はセットプレーの練習もかなりやり込んでいるので、タイミングも合ってきている。これから得点という形で残していきたい」と、セットプレーの手応えをつかんだ。

 水戸戦はスコアレスドローに終わったが、田中は試合内容に満足しているようだ。実際に「今日のようなサッカーを継続して、粘り強く相手のやりたいサッカーを消しながら、しっかりアウェーで勝ち点3を狙う」と次節東京V戦に向けて、そのように語っている。

 そんな田中は常に「攻守一体」というサッカーの性質を心得ている。

「攻撃と守備って、良い守備から良い攻撃へというのはつながっている部分もある。一つのきっかけでまた(ゴールが)ポン、ポンと取れるような気配もある。そういう意味では、引き続き良い守備をして、前の選手に気持ちよくゴールを狙ってもらうことをやり続けたいと思います」

 岡山の最終ラインを支える経験豊富な34歳の守備職人は、これからもチームの方向性を自らのプレーで示していくことだろう。

現地取材◎サッカーマガジン編集部 写真◎J.LEAGUE