10月4日、明治安田生命J2リーグは第24節が開催され、水戸ホーリーホックはファジアーノ岡山とケーズデンキスタジアム水戸で対戦。序盤から攻勢に出るもゴールを奪えずドロー。ただ、守備陣は無失点。右サイドバックの前嶋洋太は手応えと課題の両方を感じている。

上写真=岡山戦では右サイドバックを務めた前嶋洋太(写真◎MITO HOLLYHOCK)

■2020年10月4日 J2リーグ第24節(@Ksスタ:観衆2,385人)
水戸 0-0 岡山

「またレベルアップして次の試合に臨みたい」

 勝てた試合だったかもしれない。でも、粘り強く守ったことで、負けなかった試合だったのかもしれない。そんな二面性を含んだスコアレスドロー。「前半は良い形で試合を進められた。後半は(岡山に)押しこまれる時間が多くなった。決定機はいくつかあったけれど、そこで決めきれずに引き分けてしまい、残念だった」と、右サイドバックを務めた前嶋洋太は試合後の心境を語った。

 前嶋の言う通り、前半は水戸が試合の主導権を握った。開始48秒で1つ目のチャンスを創出するなど、序盤から岡山ゴールへと迫った。前嶋も右サイドから果敢に攻撃参加する。「高い位置を取れたら自分の長所をどんどん出していかなければ、自分が(試合に)出ている意味がない。積極的にやっていきたいと思っていました。奥田(晃也)選手がスペースを開けてくれたりしたので、すごく助かりました」と敵陣深くに進入し、鋭いパスやクロスで得点機を演出した。

 しかし、岡山の堅い守備陣の前に1点を奪うことができなかった。「一番、ゴールに近づくためのプレーを選択するだけだと思います。状況に応じた判断をしなければいけない」と、ゴールに結びつくプレーができなかったことを反省する。

 一方で、後半は守備に追われる時間も長くなった。シュートの本数で水戸が「6対3」と上回った前半とは対称的に、後半は「4対8」。このデータからも守勢だったことが分かるだろう。

 それでも、相手の決定機と言えるのは、CKから田中裕介にヘディングシュートを放たれ、ポストに救われた場面くらい。「個人的にはあまり失点する気がなかったし、(自陣の)ゴール前でも落ち着いて対応できたシーンが多かった。今までに(失点してしまって)たくさん痛い思いをしてきたので、こういう(無失点の)試合を続けていかなければいけないと思いました」と、前嶋は守備面の手応えをつかんだ。

 ホームで得点できず勝ち点「2」を逃したことは痛恨だったかもしれない。ただ、前節まで無失点試合をわずか5試合しか達成できていなかった守備陣としては収穫もあったのだろう。チームの中でも特に攻守両面での働きが求められるサイドバックの前嶋は、その両方を感じている。

「また次の練習でみんなと話し合ったり、個人個人がしっかり高め合ったりして、レベルアップして次の試合に臨みたい」

 今季、横浜FCから水戸に武者修行中の23歳のサイドバックは、常に成長を求めている。

現地取材◎サッカーマガジン編集部 写真◎MITO HOLLYHOCK