今季、2試合で先発出場を果たしたジェフユナイテッド千葉のルーキー、本村武揚。右サイドバックのポジションを与えられて、日々奮闘中だ。同じポジションには田坂祐介とゲリアがいて、彼らから貪欲に吸収しようと必死だ。

上写真=本村が出場2試合で得た課題は今後に必ずぶつけてみせる(写真◎ジェフユナイテッド千葉)

「合格点はあげられません」

 ルーキーのDF本村武揚が明治安田生命J2リーグ第13節のV・ファーレン長崎戦で初スタメン、第17節の京都サンガ戦では初のフル出場と、プロのキャリアを歩み始めている。

 流通経済大4年時の昨年、特別指定選手としてすでに「デビュー」を果たしているのだが、出場は第33節徳島ヴォルティス戦の後半アディショナルタイムだけ。だから今年の長崎戦が本当の意味での初出場と言える。尹晶煥監督に与えられているのは本来のセンターバックではなく右サイドバック。振り返れば課題が浮き上がるという。

「長崎戦で初めて出て、守備に追われることが多くて課題が出ました。前に出ていけなくて、その課題を克服して京都戦に出たんですけど、攻撃ではラストに押し込むところで消極的なところがありました。そこを積極的に行ければもっと試合に絡めるのではないかと思います」

 ともに上位を争うチームとのアウェーゲームで、自分たちは大幅なローテーションを行う中でのゲームだったので、その意味での難しさもあっただろう。それでも「合格点はあげられませんね」と自己評価は厳しい。

「もともとは真ん中の選手なので、足元でのポゼッションには自信があります。でも、サイドバックでの攻撃参加はまだ課題ですね。大学のときもサイドバックをやったことがあったんですが、プロはまったく違います。ポジショニングで苦戦しています。大学時代はサイドハーフを中に入れて自分が高い位置から裏に抜けることが多かったけれど、いまは4バックがまず幅を取って、オープンな形でボールをもらってからFWに裏へ蹴るので、上がるタイミングが難しいです」

 ただ、「完璧ではないけれど、少しずつ合ってきました」という感覚も芽生えているので、吸収は早そうだ。

 同じポジションには田坂祐介やゲリアがいる。目の前のお手本から盗めるものは盗んでおきたい。

 オーストラリア代表の経験もあるゲリアからは「スピードが武器の選手ですが、上がるタイミングを参考にさせてもらっています」、ドイツでプレーしていた田坂からは「ボールタッチの部分は一番レベルの高い選手です。センターバックやボランチから引き出したときのファーストタッチを参考にしていて、周りを見るタイミングについて聞いています」。自分の特徴に先輩たちのエッセンスを加える作業が楽しそうだ。

 では、その本村らしさとは?

「声を出して戦うところは練習で見せて継続していけば、使ってくれるのではないかと思っています」

「うまい選手ではないので、気持ちの部分やいい声を発信していってチームに貢献できればと思います」

 そんな生きの良さが、苦境のチームの活力源になるかもしれない。