明治安田生命J2リーグは9月9日に第18節を迎える。シーズンも中盤に差し掛かりつつある中で、東京ヴェルディは次節にファジアーノ岡山と対戦。前節の愛媛FC戦で敗れた教訓を生かし、発想の転換で勝利を目指す。

上写真=愛媛に敗れた悔しさは人一倍なはず。次の岡山戦で取り返す(写真◎J.LEAGUE)

「引き出す必要がなかった」

「5連戦第2幕」の3戦目、第17節の愛媛FC戦から4戦目の第18節ファジアーノ岡山戦へと向かう中で、東京ヴェルディの永井秀樹監督が選手たちと確認し合ったことは「発想の転換」だったという。

 愛媛戦では、予想と異なる4-4-2の布陣によるマンツーマンディフェンスを相手が仕掛けてきたことで、特に前半は沈黙。序盤の17分には手痛い失点も食らって、そのまま0-1で敗れた。

 ゴールから逆算して徹底的に相手を崩しにかかる東京Vに対しては、しっかりとブロックを作って、ときには5バックと4人のMFでぴっちり蓋をする守備に活路を見出すチームが多い。だが、愛媛の川井健太監督が選手に仕込んだのは、最終ラインを高く保ってプレーエリアをコンパクトに封じ込めておいてから、前に出て激しく1対1で勝負していくスタイル。川井監督は攻撃の一部としての守備という概念を選手に浸透させた。

 これを東京V側から見ると、永井監督が言うように、こうなる。

「愛媛がマンツーマンで来るというプランに対して、どう向き合っていくか。普段の私たちは、なかなか前に出てこない相手を引き出すという難しい作業から入っています。でも、見方を変えると愛媛戦では(相手が出てきてくれるので)引き出す必要がなかったわけです。発想の転換というか、見方を変えることができればスペースはたくさんあった、ということを改めてミーティングで確認しました」

 マンツーマンの激しさに面食らってしまった一面は、裏を返せばその「向こう側」を見る発想がなかったことの表れで、それに気づいていれば、相手をわざわざ引き出す作業をしないで攻め崩せた、というわけだ。このあたりは経験によって見えてくるものもありそうで、そこは永井監督が常々言う成長段階における学びの部分。「戦っている選手が肌感覚で感じて次に進んでほしい」と、次への応用へとつなげていくことに期待している。

 その「次」とは、次節の岡山戦になるかもしれない。就任2年目の有馬賢二監督は愛媛と同じようにしっかりとボールを回すことから逃げないスタイルを選手に植え付けて、4-4-2の布陣からシュアなディフェンスを基盤に戦っている。順位こそ東京Vの暫定9位に対して同17位だが、勝ち点差は4と大きな開きはない。

「ビルドアップの部分をシミュレーションしてみましたが、組織されたいいチームですし、アウェーなので、油断することなく我々のサッカーを90分できるように最大限努力したいと思います。頭の中でプランは練っています」

 中でも上田康太のパスを警戒し、「非常にいいゲームメーカーですね。いいところがよく見えていると思いますし、チーム全体として2トップの高さや背後を生かしたパス、セカンドボールの回収など、やることが徹底されています。上田は注意しなければならないと思います」と話す。

 岡山が分析してくれば、前回の愛媛と同様のプランを採用することも、可能性としてはあるかもしれない。そのときには、愛媛から得た「発想の転換」という新たなエッセンスを、これまでの攻め倒すスタイルに加えて、岡山を倒すだけだ。